メンバーとのコミュニケーションや伝え方の悩みに効く本
このコーナーでは、本の要約サービス『flier』のフライヤー編集部が、リーダーやリーダーをめざす方々が抱えがちなお悩みの解決や学び直しに効く“本”の処方箋を紹介していきます。テーマは、メンバーとのコミュニケーション、部下の育成、リーダーシップ発揮、チーム力アップなど。あなたの「ブックメンター」が見つかりますように。
第1 回のテーマは『メンバーとのコミュニケーション』。flierでも、リーダー層の読者のなかで、「メンバーの力を引き出すコミュニケーションの取り方」を磨くための本が上位にランクインする傾向にあります。個々のメンバーが力を発揮でき、成果の出るチームになるためのヒントがつまった本を紹介します!
目次
うまくいくリーダーは、「話し方」で差をつける
「メンバーが指示待ちになりがち。どうすれば自ら動いてくれるんだろう?」
「目標に向けてもっとやる気を出してもらうために、どんな伝え方をするといいのか?」
こんな悩みを抱えているリーダーにおすすめしたいのが、『リーダーは話し方が9割』です。ビジネス書売上ランキング3 年連続1 位に輝いた大ベストセラー『人は話し方が 9割』を読まれた方もいるかもしれません。
うまくいくリーダーと悩むリーダー。その違いは特別な能力や実績、カリスマ性ではなく、「人をやる気にさせ、能力を引き出す話し方」をしているかどうか。本書によると、部下は「自己肯定感」を満たすだけでは動かず、意識すべきは「自己重要感」です。ひと言で表現すると、自己肯定感は安心感、自己重要感は特別感のこと。結果を出し慕われるリーダーは、話し方を通して部下やメンバーたちの特別感を高めているのです。
著者は、相手の自己重要感を高める話し方を、「フォーユートーク」と呼びます。フォーユートークの7 つのポイントとは? 気になった方はまずは要約を入り口に、本書をぜひ開いてみてください。読み進めるにつれ、リーダーとしてのあり方に自信を持てていなかった方も、心が救われるのではないでしょうか。
「何でも言ってね」は役に立たない?
チームの生産性向上を高める方法として注目を集めている「心理的安全性」。自分の考えや意見を、安心して率直に言い合える状態を意味します。つまり、メンバー同士が健全に意見を戦わせ、生産的でよい仕事をすることに力を注げるチームのことです。グーグルの生産性改革プロジェクト「プロジェクトアリストテレス」によって、心理的安全性の高い組織やチームほどパフォーマンスも高いことが明らかになりました。
著者によると、日本の組織やチームでは、(1)話しやすさ、(2)助け合い、(3)挑戦、(4)新奇歓迎(新しさや奇抜さを歓迎する) 、という4 つの因子があるときに、心理的安全性が感じられるそうです。
中でも、話しやすさを改善するとしたら、「何でも言ってね」というフレーズが思い浮かぶかもしれません。とはいえ、その言葉ですぐに率直に話せるかというと、一歩が踏み出せない場面もあるでしょう。もっと効果的なのは、文脈に応じて具体化した投げかけ。たとえば新しいプロジェクトを始める際には、「改善点やリスクを思いつく人はいますか?」などと、場面に応じて具体的に尋ねると、グッと話しやすくなるようです。
心理的安全性の高いチームをつくりたいリーダーにとって、実践的なアドバイスの詰まった本書は、心強い味方になってくれることでしょう。
80年以上ベストセラーであり続けた「人間関係の名著」に学ぶ
働く人の価値観や属性が多様化し、ハイブリッドワークなど新たな働き方も広がりつつあるいま、職場のコミュニケーションはますます複雑になっているといえます。「リーダーとしてメンバーをうまくまとめられるか不安がある」「メンバーとの信頼関係を築きたい」。そんなふうに思ったときには、信頼の築き方の「原則」に立ち返ることが大事かもしれません。
そこでおすすめなのが自己啓発書の元祖といわれる『新装版 人を動かす』。本の要約サービス「flier」で話題の本を書かれている著者の方々からも、「座右の書」として挙げられることが多い一冊です。
著者のデール・カーネギー氏は、偉大な政治家や実業家のふるまいや、ビジネスシーンでの具体例をふんだんに盛り込んでいて、それが原則の本質を理解する助けとなっています。たとえば「人に好かれる六原則」では、「聞き手にまわる」「関心のありかを見抜く」などが紹介されています。普段のコミュニケーションで実践できていたかなと、振り返るきっかけを与えてくれます。「人間関係の名著」を味わってみませんか?
自分も相手も大事にできる最強の武器、「アサーティブ・コミュニケーショ ン」
考え方が合わない人や、接していて苦手な人。そんな人とも建設的な関係性を築き、同じゴールに向かっていくためには、どうしたらいいのか。そんな課題意識をもったときに役立つのが、「アサーティブ・コミュニケーション」です。
アサーティブ・コミュニケーションとは、相手も自分も大切にした自己表現を意味します。コミュニケーションの研修・講演歴約30 年の著者が、アサーティブ・コミュニケーションに基づいたマインドやスキルを教えてくれます。これらを身につけると、互いの意見が違っていても、「相互尊重」と「相互信頼」をもとに建設的に議論できるようになります。「攻撃的な相手にどう伝えればいいか?」「繊細な人に注意を促すには?」といった、ケース別対応例を読むと、アサーティブな表現をより実践しやすくなるはずです。
何より、「他者の靴を履く」ことの大切さに気づかせてくれます。アサーティブな表現を習慣化していけば、人間関係における本質的でない軋轢が減っていき、チームのカルチャーも前向きなものになるのではないでしょうか。
『アサーティブ・コミュニケーション』要約リンク(flier)
自走するチームは「コーチング」でつくれる!
管理職やリーダーの立場で、メンバーの能力が開花できるように、どう関わるとよいだろうか?そのヒントが詰まった一冊が『新装版 目からウロコのコーチング』です。コーチングとは、会話によって相手の潜在能力を引き出しながらサポートし、自発的に行動することを促すコミュニケーションスキルを意味します。そこで大事なのは、質問して、聴いて、受け入れるという3つのスキルです。
特に相手の話をしっかり「聴く」のはなかなか難しいもの。相手の話の中から頭に浮かんだ自分の思いを手放し、相手の話を100%理解しようと思って聞く。これこそがコーチングにおける「本当に聴くこと」だといいます。1on1 などメンバーの話を「聴く」際に意識すると、相手にとって「話を聴いてもらいたい人」に近づけるはずです。
また、「上司と部下」「銀座No.1 ホステスと常連客」といった興味深い具体例が盛りだくさん。人間の本性に根差した本書のメッセージは、メンバーの育成や信頼構築において、心の支えになってくれるのではないでしょうか。
コーチング初心者の学びはもちろん、上級者の振り返りにもピッタリな一冊です。マネジメントだけでなく、家族との会話にも活かせる、「コーチング入門書の決定版」としておすすめします。
『新装版 目からウロコのコーチング』要約リンク(flier)
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いかがでしたか? 心の拠り所になるような「ブックメンター」が見つかれば幸いです。
今後もフライヤー編集部は、リーダーの背中を押してくれるような本を紹介していきます。
株式会社フライヤー / Flier Inc.
本の要約サービス「flier(フライヤー)」は、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1 冊10 分で読める形で提供し、良書との出合いを促進するサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。