ビジネスの偉人たちが残した リーダーシップに関する名言
心に響いた様々な「言葉」を紹介する当企画。今回のテーマは、「リーダーシップに関する名言」。ビジネスの偉人たちが残した言葉をご紹介します。
まず知っておきたい、リーダーの役割について
- 「リーダーは壮大なビジョンを描き、個人の徳を社会にとって利益にする」
- ~ピーター・ファーディナンド・ドラッカー/1909 - 2005~
オーストリア人経営学者。人類で初めて現代経営学やマネジメント を体系化した。そのため、「知の巨人」「マネジメントの父」とよばれる。
「マネジメント」という概念を初めて確立した経営者・ドラッカーは、「組織」を”個人の強みを社会にとって生産的なものに変える道具”のようなものと考えていました。従って、メンバー個人の強み=徳を最大限発揮させることがリーダーの役割であると捉えています。
そして、その方法こそが「大きなビジョンを描くこと」であると説いています。たしかに、ビジョンを描くことで、チーム内の軸ができて、そのビジョン達成のためには今何をするべきかと逆算思考で物事を考えられるようになり、メンバーは積極的に働くことができます。また、ビジョンがあれば「なんのために働いているのだろう」といった部下の漠然とした不安も取り除くことができます。
リーダーの仕事はビジョンを描くこと。リーダーになりたての方や、リーダーになりたい方は特に覚えておきたい言葉です。
リーダーがとるべきコミュニケーションの基本とは!?
- 「部下に大いに働いてもらうコツの一つは、部下が働こうとするのを、邪魔しないようにするということだ」
- ~松下幸之助/1894 - 1989~
実業家、発明家、著述家。パナソニックホールディングスを一代で築き上げた経営者。「経営の神様」の異名を持つ。晩年は松下政経塾を立ち上げ、政治家の育成にも意を注いだ。
部下の立場だった時、上司の一言で、働く意欲に水をさされてしまったという経験がある人も多いと思います。良かれと思って行った指導が、部下のやる気をそいでしまうこともあるのです。
では、上司はただ部下を見守っていればいいということなのでしょうか? そうではなく、「責任者として言わなければならないことは、ちゃんと言う」「その際に、働くのをじゃまするような言い方をしない」と、松下氏はこの名言のあとに続けています。
大前提として、部下を信頼してある程度のことを任せることが、部下にとって働きやすい環境となり、「あの上司は自分を理解してくれる」という安心感にもつながるのです。そして、大切な場面で言うべきことは部下に伝わりやすい言い方で伝える。上司と部下の良好な関係を築くコミュニケーションの基本を教えてくれる名言です。
マネジメントに悩んだ時、思い出したい名言
- 「リーダーの行為、態度、姿勢は、それが善であれ悪であれ、本人一人にとどまらず、集団全体に野火のように拡散する。集団、それはリーダーを映す鏡なのである」
- ~稲盛和夫/1932 - 2022~
実業家。京セラ・第二電電(現・KDDI)創業者。2010年には日本航空会長に無報酬で就任。赤字続きだった日本航空を再建させる。戦後日本を代表する経営者の一人。
リーダーはいい意味でも悪い意味でも、集団に大きな影響を及ぼします。リーダー自身が思う以上に、部下はリーダーの言動を見ているものです。もしも「部下とうまくいかない」「自分のチームの雰囲気が悪い」と感じたら、まずは自分の考えや行動に問題はなかったか振り返ることが大切です。
そのように考えると、リーダーという立場に物怖じしてしまいそうにもなりますが、逆に自分の行動ひとつでチームも変えられると思えば、マネジメントに対するハードルも少し下がるのではないでしょうか。
他人は変えられませんが、自分は変えられます。「部下を動かす特別なスキル」を探し求めるのではなく、これまで働いてきたことで身に着いたスキルや社会人としての振る舞い、仕事へのスタンスを部下に見せることを意識してみてください。
構成:菱山恵巳子