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マイキャリアストーリー

『“ダメならまた考えればいい”思いつめず工夫を楽しむ』
コスモエネルギーホールディングス 法務総務部 山田美和子さん【後編】

誰しも迷うキャリアの決断。管理職として活躍する女性はいつ、何に悩み、どう決断してきたのか。キャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

今回は前回に引き続き、コスモエネルギーホールディングスで法務総務部 統括グループ長を務める山田美和子さんにお話を伺いました。

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山田 美和子(やまだ みわこ)さん

コスモエネルギーホールディングス株式会社 法務総務部 統括グループ長
2017年中途入社。コスモビジネスアソシエイツ人事センター人事グループ長を経て、21年よりコスモエネルギーホールディングス秘書室秘書グループ長、23年より人事部企画グループ長を担当。25年4月より現職。

メンバーにやってほしいことは、自ら実践して取り組み姿勢を示す

子育てとの両立を考え、より働きやすい環境を求めてコスモエネルギーホールディングスに転職した山田さん。管理職採用の枠で入社し、秘書室のグループ長、人事部での企画グループ長など、さまざまな領域でのマネジメント経験を重ねてきました。
「秘書室のグループ長をしたときには、“経営者目線”で物事を考える大切さを学びました。役員人事や役員報酬制度、グループ全社の事業に関する情報が入ってくる部署だったので、現場目線では“良し”とする判断も、経営サイドでは違う判断をするケースもあるのだと体感できました。メンバーとの対話では『現場ではこう見えるけれど、役員の立場になったらどうだろうか』と問いかけることが増え、マネージャーとして成長する機会を得られました」
人事部の企画グループ長時代には、それまで長く人事領域に携わってきた中で初めて、“人”に関わる施策に向き合うことになりました。
「前職を含め給与計算や労務に関わることはありましたが、人材育成には深くタッチしてきませんでした。人事部企画グループでは、キャリアの中で初めて社内研修の企画や評価制度の立案を手掛け、『どうしたら社員の皆さんのパフォーマンスを引き出し、伸ばしていけるのか』という難題にメンバーとともに2年間向き合い続けました。
粛々と研修を終えることはできるかもしれませんが、本当に効果的な、参加した社員が『得るものがあった!』と実感できるような場を作るにはどうすればいいのか。正解のない難しさと、それゆえの面白さがありましたね」
管理職のポジションで入社することにこだわりがあったと話す山田さん。前職で感じていたマネジメントの醍醐味を「ぜひ次の環境でも味わいたい」と考えていました。
「人事経験の少なさをカバーできる自分の売りは、マネジメント経験になるだろうという思いもありました。管理職の最大の魅力は、一人ではできないこともまわりのメンバーを巻き込みながら達成できること。組織の重要な意思決定に携わることもできますし、成果として返ってくるものも大きいです」
メンバーとのコミュニケーションでは、「相手にやってほしいことは、自分が先にやって見せる」ことで、一方的な指示にならないように心がけているといいます。
「例えば、報連相も、まずは私が率先してやるようにします。メンバーに報連相をやってね、と言うだけではなく、“報連相を徹底することでグループの業務がスムーズに進んでいく”ということを、実践を通じて見せていきたい。そのほうが、より説得力がありますよね」
山田さんが入社した当時は、まだまだ管理職の女性は少なく、「課長研修に行くと女性は自分一人」という状況が続いていたそう。しかし、制度面の充足もあり、女性比率は年々高まっています。
「研修では常に目立ってしまって、講師の方に頻繁に当てられてました(笑)。でも今では、女性の管理職だから、というだけで注目されることはありません。当グループを含めエネルギー業界全体の変化を感じています。
働き方の柔軟性も高まっていて、フレックスタイムやテレワークの制度を活用して、プライベートの予定と調整しながら働くことができます。子どもの学校行事のたびに休みを取っているとどうしても業務が回らなくなってしまいますが、テレワークの合間に1~2時間の中抜けができれば、学校行事が終わった後に残っていた仕事を終えることができます。現在の部署ではお子さんがいる方が何人もいますが、チームで動くことでお互いにフォローし合うことができ、とても働きやすくなっています」

見切り発車でも、始めてみることに意味がある

働き続けるために仕事を変え、自らを新しい環境に適応させながらキャリアを築いてきた山田さん。ただ、子どもを産む前には、仕事を辞めるかどうかで悩んだ時期もあったといいます。
「私が出産した2009年当時、前職の会社では妊娠・出産のタイミングで会社や仕事を辞める女性が半分ほどいたのではないかと思います。仕事の裁量が大きくなり忙しくなっていく時期と、ライフイベントの変化はどうしても重なりがちです。
私も、SEという多忙な職種ということもあり、両立は難しいかな、辞めたほうがいいかなと思ったこともありました。でも、その時に出した答えは、『とりあえずやってみて、ダメだったら考えよう』というもの。今思えば、そんな気楽な“結論の先延ばし”ができて本当によかったと思っています」
子育てが一番大変だったのは、子どもが2~3歳の頃。洋服のボタン一つ止めるのにも時間がかかり、かといって手伝おうとすれば大号泣されてしまう。保育園に行く時間がさらに遅れ、毎朝イライラを抑えるのが大変だったと笑います。
「そんな時期の子どもの写真を見ると、この頃が一番かわいい!と思うんですよね。その当時はいっぱいいっぱいで、『両立なんて無理!』と早々に決断することもできたかもしれません。でも、できるかわからないながらも飛び込んでみると、なんとか工夫する術が見えてきます。

私はもともと、仕事も家事も自分一人でやろうとして、抱え込んでしまうタイプでした。育休から復帰した直後は、私が家事育児をすべて担うことが当たり前になっていて、夫の巻き込みに難しさを感じることもありました。

でも、両立を始める中で、それでは続かないことを痛感して。仕事もメンバーにどんどん任せられるようになり、夫との家事・育児の分担も進める中で、夫婦でどう工夫すると両立が可能なのか、自分たちなりのやり方を見出していけるようになりました」
先のことを不安に思い、先回りして決断するのではなく、やりながら考えていく。そんな毎日の積み重ねで、「気が付いたら、子どもは高校生になりました」と笑顔を見せます。
「ここまで仕事を続けて来られるなんて、育休から復帰したばかりの頃は想像もできませんでした。でも、ダメだったらまた考えればいい、と思い詰めずにいれたことで、工夫を楽しみながら仕事を続けることができました。やってみなければ、何をどう改善できるのかも見えてきません。メンバーや後輩たちにも、まずは飛び込んでみて、と伝えたいですね」

「前編記事」





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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子

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