『“ダメならまた考えればいい”思いつめず工夫を楽しむ』
コスモエネルギーホールディングス 法務総務部 山田美和子さん【前編】
誰しも迷うキャリアの決断。管理職として活躍する女性はいつ、何に悩み、どう決断してきたのか。キャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。
今回は、コスモエネルギーホールディングスで法務総務部 統括グループ長を務める山田美和子さんにお話を伺いました。

山田 美和子(やまだ みわこ)さん
コスモエネルギーホールディングス株式会社 法務総務部 統括グループ長
2017年中途入社。コスモビジネスアソシエイツ人事センター人事グループ長を経て、21年よりコスモエネルギーホールディングス秘書室秘書グループ長、23年より人事部企画グループ長を担当。25年4月より現職。
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人事に詳しいSEへ、キャリアの強みを磨いていった

- 「ココロも満タンに」をブランドステイトメントに掲げ、石油事業(開発、精製・販売、化学)を中心として、近年では風力発電による再生可能エネルギー事業などに取り組み、エネルギーの安定供給を担うコスモエネルギーグループ。山田美和子さんは、グループ会社全体の経営管理を行うコスモエネルギーホールディングスで法務総務部の統括グループ長を務めています。
2017年の中途入社後、人事・総務・経理財務の運用オペレーションを担うコスモビジネスアソシエイツで人事グループ長を経験。2021年からは秘書室に異動になり、役員秘書のマネジメントを担当しました。2023年から人的資本経営に向けた人事施策の企画などを手掛け、現在のポジションに至っています。
人事総務などバックオフィス部門の経験が長い山田さんですが、社会人のキャリアのスタートはエンジニア職だったといいます。 - 「大学卒業後に入ったのが、大手商社グループの情報システム会社でした。人事給与計算システムを自社製品として持つ会社で、エンジニアとコンサルタントを約15年担当したのち、会社の合併を機に人事部に異動。制度やシステムの統合を担当していました。キャリアのベースはシステムエンジニア(SE)なんです」
- 学生時代は就職氷河期真っただ中でした。50社以上受けてもすべて落ちるような超買い手市場。苦戦しながらも、「アイデアを形にして提案をしていく仕事を手掛けたい」と、開発とコンサルティング双方を経験できる前職を選択しました。
- 「人事制度は法改正によりどんどん変化していきます。それにより、人事システムの機能も変えていく必要があり、法律の改正を受けてどう対応するか…と考えながら開発を進める面白さがありました。大学では法学部だったこともあり、法改正の詳細を調べ、背景を学ぶことが好きだったんです」
- 扱うシステムの特性上、向き合うお客様はあらゆる業界の人事担当者でした。システムの導入に向けて、既存の制度がどのような仕組みになっているのか、ヒアリングが欠かせません。中には、1年単位の長期プロジェクトもあり、定期的にお客様とコミュニケーションを重ねシステムの安定稼働まで見届けていく中で、人事制度に関する知識がどんどん増えていきました。
- 「お客様の課題により深く向き合いたい、専門知識を持って議論できるようになりたいと考え、入社4年目に社会保険労務士の資格を取りました。『人事に詳しいSE』になれたら、キャリアの強みになるかな、という思いもありました」
子育てとの両立がしやすい環境へ、人事経験を生かした新しいキャリアに挑戦

- 転職を考えるきっかけになったのは、2009年に子どもを出産したことでした。
2年弱の産休・育休を経て、まずは「6時間の時短勤務」で職場復帰をしましたが、時間の制限をつけにくいSEの仕事と子育てとの両立に、だんだんと難しさを感じるようになったといいます。 - 「職場復帰の最初の壁は保育園でした。子どもが1歳半になるまで空きが出ず、ようやく入れたのが、自転車で30分かかるところでした。時短勤務ですら、『本当にできるのだろうか…』と不安は大きかったです。でも、まずはやってみよう、慣れてきたら勤務時間を30分ずつ伸ばしていこう、とスロースタートを決め、子どもが3歳になったときにはフルタイム勤務に戻ることができました。
復帰当初からテレワークはできていましたが、お客様都合で動く仕事ゆえに『明日までにこの機能改善を終えてほしい』といった急な対応も入ってきます。家で夜遅くまで仕事をする場面が増えてしまい、より両立しやすい環境に移ろう、と考えるようになりました」
- それまでのキャリアの軸である「システムエンジニア」と「人事」、それぞれの経験・スキルを振り返り、「人事に近いところで、新しいキャリアを作っていこう」と考えた山田さん。働きやすい環境を求めて出会ったのが、コスモエネルギーホールディングスでした。
- 「転職したのは、子どもが小学校3年生になるタイミングでした。中学受験を考えていたので、そちらが本格化する前に動きたかったんです。コスモエネルギーグループは、安定した事業基盤を持ち福利厚生が充実している点が魅力の一つでした。
業界的に男性が多いイメージを持っていましたが、私が応募したのは『女性管理職候補採用』の枠。会社の在り方を変えていこうという思いが感じられました。また、新たな人事システムをグループ全社に展開していきたいという話もあり、まさに、前職で培ってきた知見が生かせる環境だと感じました」
→「後編記事」につづきます
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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子