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マイキャリアストーリー

『買い物が思い出になる、非日常の時間を提供したい』
三菱地所・サイモン株式会社 デジタル戦略部 渋谷美佐登さん【前編】

誰しも迷うキャリアの決断。管理職として活躍する女性はいつ、何に悩み、どう決断してきたのか。キャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

今回は、三菱地所・サイモン株式会社でデジタル戦略部マネージャーを務める渋谷美佐登さんにお話を伺いました。

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渋谷 美佐登(しぶやみさと)さん

三菱地所・サイモン株式会社
デジタル戦略部マネージャー

大学卒業後、デザイン事務所勤務を経て2009年に三菱地所・サイモン株式会社(当時のチェルシージャパン株式会社)に中途入社。本社マーケティング部にてPR業務に従事。2015年より御殿場プレミアム・アウトレット マネジメントオフィスに異動し、御殿場プレミアム・アウトレットの集客施策の立案・実施などマーケティングを担当する。2022年4月よりマネージャーに昇格。2024年4月より本社デジタル戦略部設立に伴い異動。

お客様満足に向き合える仕事に挑戦しようと、転職を決めた

国内10カ所にあるアウトレットモール「プレミアム・アウトレット」を開発・運営している三菱地所・サイモン株式会社。渋谷美佐登さんは、2024年4月より新設されたデジタル戦略部のマネージャーとして、新たな社内外向けシステムの導入などを進めています。
「新たな顧客体験やサービスなど、来場されるお客様に連なるものから、当社内の業務効率化、働き方改革に連なるものまで、会社の成長を推進する部署として立ち上がりました。
業務プロセスにおける課題解決には他部署とも連携して取り組んでいますし、「プレミアム・アウトレット」にかかわる全員が働きやすい職場づくりを目指しています。
2009年にPR担当として中途入社した渋谷さんは、酒々井プレミアム・アウトレット(千葉県印旛郡酒々井町)の新規開業や、他施設の増設開業などを担当。2015年からは、御殿場プレミアム・アウトレットのマーケティング担当として、約8年間、集客施策の立案や実施に奔走してきました。
もともと、都市デザインを学び、都市計画や街づくりなど公共事業に携わるデザイン事務所に勤めていた渋谷さん。「プレミアム・アウトレット」を手掛ける三菱地所・サイモンに転職を決めた背景には、どんな思いがあったのでしょうか。
「子どもの頃から、茅葺屋根の家のような、その土地の風土が根付いている空間に興味がありました。都市デザインを学ぼうと思ったのは、建物単体ではなく、街や都市まで広げてデザインを考えられたら面白いなと思ったからです。
前職では、公共事業を手掛けることが多く、例えば地域の街づくりや駅前広場の計画などに携わったこともあります。ただ、『個人の暮らしや生活に楽しみを提供できているのだろうか』と疑問を持つことも多くありました。お客様満足を考えながら働ける環境のほうが、自分の幸せにつながっていくのではないか。そう考え、国内最大規模のアウトレットモールを展開する当社に興味を持ちました。毎日、たくさんのお客様を迎えている施設をPRしていく仕事は魅力的で、新しい分野へのチャレンジは自分の成長にもつながるだろうと思いました」

時間に追われた子育てとの両立、周りの支えに救われた

キャリアの大きな転機は、マーケティング担当として御殿場プレミアム・アウトレットに異動になったことだったと話す渋谷さん。同時期に結婚、妊娠・出産という大きなライフイベントも経験し、仕事と育児との両立でキャリア観が変わっていったといいます。
「お客様が訪れる施設での勤務は、ぜひ経験してみたかったことだったので、当初は、全国にプレミアム・アウトレットのいろんな現場を経験してみたいと思っていました。でも、子どもがいると、家族で地方に引っ越すハードルが高くなります。できないと思うことが増え、キャリアが頭打ちになってしまったかのような葛藤がありました」
日々の業務範囲は広く、集客や売上の実績管理から、プレミアム・アウトレットの広大な敷地を活用した集客イベントの企画立案、店舗スタッフや来場したお客様からの問い合わせ対応まで、時短勤務の中で求められるマルチタスクに悩んだこともあったそう。
「集客施策を考えるためには、本来、じっくり腰を据えてアイデアを練っていかなければなりません。でも、時短勤務では通常業務すら時間内に終えるのが大変で…。帰宅すれば小さな子どもが待っているので、仕事をしようにも時間が細切れになってしまい、集中できる状態ではありません。土日にもシフトが入り、当時は、仕事と育児との両立なんて、本当に可能なのだろうかと悩むこともありました」
仕事を続けやすい環境を少しずつ作っていった、と話す渋谷さん。まず、自宅から職場まで往復2時間という遠距離通勤を見直すために、家族と話し合いました。
「車の運転が苦手で最初は高速バス通勤でしたが、時短のためにも自家用車で行けたほうがいいなと思い車通勤に切り替えました。周りからは『高速道路を運転できるの?』などとかなり心配されましたね(笑)。でも、車の中で“一人の時間”ができたことで、仕事からも育児からも離れてリフレッシュできるようになったんです。ときには集客イベントについて考えを整理したり、1日の仕事を振り返ったり、ぼんやり子どものことを考えたり。だんだんと、自分なりの働くペースを作れるようになりました」
職場では一緒に働く仲間に支えてもらい、「自分も周りに困っている人がいたら助けよう」と、チームワークを意識するようになったと話します。
「子育てをしていると、子どもの体調不良で予定が崩れることも多々あります。どうしても周りにお願いすることが増えてしまうのですが、家族に子どもを見てもらえるときは残って仕事を終えるなど、自分にできることはやっていこうと常に考えていました。そんな姿を見て、『いつも頑張っているから協力してあげよう』と思ってくれる同僚が増えていったのかもしれません。本当にたくさん支えてもらった分、次は、自分が困っている人に対して手を差し伸べたい。恩返しを重ねることで、いい職場を作っていけるのかなと思っています」

→「後編記事」につづきます





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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子

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