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マイキャリアストーリー

『物件作りに込めた想いは、そのまま社会へのメッセージにつながる』
東急不動産・都市事業ユニット 小田麻友美さん【後編】

誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

今回は、前回に引き続き、東急不動産株式会社 都市事業ユニットの小田麻友美さんをインタビュー。マネジメント職を目指した思いや、メンバーとの対話で意識していることについてお話を伺いました。

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小田麻友美(おだ・まゆみ)さん

東急不動産株式会社 都市事業ユニット 渋谷開発本部 
プロジェクト推進部 事業企画グループ 課長

2007年に東急不動産株式会社に入社。分譲住宅の開発や賃貸オフィスビルの運営、渋谷エリアでの開発プロジェクトに携わり2023年4月より現職。

自分のキャリアを自分で決める

- 2023年4月より、課長ポジションでプロジェクトメンバーを束ねる小田さん。東急不動産では2021年より人事制度が改定され、マネジメント職を希望する人は手挙げで昇格にチャレンジできるようになりました。 小田さんは、その第1号として希望を出し、社内審査を経て昇格が決まりました。チャレンジを決めた背景には、どのような思いがあったのでしょう。
「これまで、プロジェクトを通じて、協力会社や職人の皆さんとものづくりを進めてきました。チームで動くことが好きだったからこそ、社内のメンバーマネジメントにはまた違った面白さや奥深さがあるのではないかと興味が湧いたのです。メンバーそれぞれのキャリアの考え方や、プライベートの事情、性格・特性など理解すべきことが多くなり、自分を成長させてくれる、新しい挑戦になるだろうと思いました。
また、私が所属する都市事業ユニットは、ユニット長をはじめ意思決定層に比較的女性が多く、『一緒にやってほしい』と周囲から背中を押してもらえたのも大きかったです」
- 手挙げで誰にでもチャンスを促す人事制度の改定には、「一人ひとりが自律的にキャリアを考えてほしい」という会社の思いがあります。
「『キャリアは会社から与えられるものではなく、自分の意思で決めていくもの』。そんな思いから、会社が手挙げ制を導入したことで、前倒しでキャリアアップしたい人も、ライフイベントとバランスをとりながら挑戦したい人も、いろいろな山の登り方ができるようになりました。
私の場合は、挑戦したいと思ったタイミングと人事制度改定が重なっただけかもしれません。でも、『小田さんができるなら、私もやってみようかな』と思う女性社員が増えていったらうれしい。背中を見せることにも意味があるのかなと思っています」
- 普段から、メンバーとのこまめなコミュケーションを大事にしているという小田さん。自身の役割は、「メンバーの強みを引き出し、得意を伸ばし、自信を持ってもらうこと」だと話します。
「真面目でストイックなメンバーが多くて、それぞれが“できていない”ところにフォーカスしがちなんです。だから私は、『十分できているよ!』『このアウトプットは素晴らしいね』とポジティブな面に目を向けるようなコミュニケーションを心がけています。
最近声をかけていることと言えば、『ちゃんと休んで身体を大事にしてね』とか『お昼ご飯は食べたの?』『おにぎり食べる?』とか。実家のお母さんみたいです(笑)」
- 何か問題が起きてからのコミュニケーションでは本音が言い合えない。だからこそ、普段からメンバーの状況を理解しておくことが大事だといいます。
「例えば、メンバーが“ライフイベントを踏まえどんなキャリアを歩みたいと考えているのか”を理解しておくことで、『得意を生かして、今のうちにこんなキャリアにチャレンジしてみたら』と、中長期目線で選択肢を示すこともできます。総合ディベロッパーとして複数事業を展開する当社だからこそ、社内にいながら、これまでとまったく異なる仕事にもチャレンジできる。視野を広く持って自分のキャリアを切り拓いていってほしいと思っています」

物件を利用するお客様の多様性が増している今、
多様な意見が、事業成長につながっていく

- 現在、女性社員比率は約3割(2023年4月時点)となり、小田さんが入社した頃と社員構成は大きく変わっています。ただ、意思決定層に女性はまだまだ少ないのが現状だといいます。 そこで、もっとコミュニケーション機会を増やし、女性が声を上げやすい社風にしていこうと、都市事業ユニットでは、2022年に女性活躍推進の社内プロジェクトを発足。有志の活動をリードしてきました。
「多様性の観点はジェンダーだけの問題ではありません。ただ、まず足元を見たときに、ライフイベントによっていろいろな選択肢を必要としている女性が多い。女性にとって働きやすく、心理的安全性の高い場になるということは、どんな人にとっても活躍しやすい場になることだと考えています」
- 充実した制度があっても、コミュニケーション機会が増えなければ活発な利用につながらないのではないか。そんな思いから、女性トイレ内にメッセージボードを設置し、思い思いに悩みを吐露してもらったり、豆知識やおすすめ情報を発信してもらったりしているのだそう。ほかにも、ユニット内では他部署の仕事をミニ体験してこれからのキャリアを考える試みや、子育て中の社員によるランチ会の開催なども行っているといいます。
「オフィスビルや商業施設など、東急不動産が手掛ける物件のお客様は、多様性が増しています。そこで、開発段階から多様なメンバーの意見を反映させる試みにも力を入れています。意思決定層が多様であることで、事業にも多様な目線が入っていきます。物件作りに込められた想いは、そのまま社会へのメッセージにつながると思っています」
- 人によっては、キャリアアップが必ずしもベストな選択肢となるわけではないと話す小田さん。それでも、性別によって機会を失うことがないよう、選択肢を広げる土台づくりを進めたいと話します。
「産休や育休から復帰する方の多くは、それまで培った経験やスキルをベースに何ができるかを考えます。復帰後に新しい事業ユニットに行こうとか、マネジメントポジションに挑戦しようという方はどうしても少なくなってしまう。だからこそ、若手のうちからチャレンジングな仕事を任せることがとても大事だと思うんです。
もう一つ重要なのは、プライベートも充実させられる、余力のある働き方ができること。ヘトヘトになるまで働いていては持続可能なキャリアにはつながりません。そんな声をあげることも、私の仕事だと思っています」

カテゴリー分けで仲間を減らさないで。
元上司の言葉が教訓になっている

- マネジメント職に就いた今、自身の教訓にしている言葉があるといいます。それは、「女性をカテゴリー分けして、自分の仲間を減らしてしまわないように」というもの。メンバーにも意識してほしいと、積極的に伝えているといいます。
「元上司の女性に、『女性にはいろいろな選択肢があるからこそ、みんなすぐにお互いをカテゴリー分けしてしまう』と言われたことがありました。
結婚している人、していない人、子どもがいる人、いない人、子育て中の人、子育てがひと段落した人、介護をしている人…。『あの人は子どもがいるから』などと自分と相手との間に線を引いてカテゴリーを作ることは、『自分の仲間を減らしてしまう行為だよ』と。その上司の言葉は、今でも強く心に残っています。

相手の立場を考えた思いやりや、理解しようという姿勢はもちろん必要です。でも、共通の悩みや疑問をぶつけあって改善していこうというとき、無意識にカテゴリー分けしていては、いつまでも一丸になれません。多様な働き方・生き方を認め合うために、枠に入れずにその人そのものを見る姿勢を、忘れずにいたいと思っています」

→「前編」はコチラ



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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子

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