『肩の力を抜いて、自然体でチャンスに向き合っていく』
アルプスアルパイン株式会社 C1営業部長 山崎明子さん【前編】
誰しも迷うキャリアの決断。管理職として活躍する女性はいつ、何に悩み、どう決断してきたのか。キャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。
今回は、アルプスアルパイン株式会社で部長を務める山崎明子さんにお話を伺いました。
山崎 明子(やまざき あきこ)さん
電子部品営業担当 C1営業部 部長
1990年、アルプス電気(現アルプスアルパイン)に新卒入社。海外顧客の営業窓口を起点に、営業本部で幅広い業務を経験。グループマネージャーを経て、2025年より現職。東日本・北関東エリアの法人営業を統括し、3グループ・32名のマネジメントを担う
居場所を見つけられる会社を選べ。父の言葉が就職活動の軸になった
- 「コンポーネント」「センサー・コミュニケーション」「モビリティ」の3つの事業を展開する電子部品のグローバルメーカー、アルプスアルパイン。山崎明子さんは電子部品を扱う営業部の部長として、民生機器(家庭や個人向けに開発された電子機器)メーカーや、車両メーカーのTier1,Tier2メーカーに対して、新製品の紹介や商談を行う法人営業部門を統括しています。束ねているのは3グループ・32名のメンバー。東京本社の2グループに加え、北関東の宇都宮に拠点を持つ1グループも含めた、遠隔地のマネジメントも担っています。
- 1990年にアルプスアルパイン(当時のアルプス電気)に新卒で入社した山崎さん。当時はバブル末期の「景気がギリギリ良い状況だった」とき。身近に長期的なキャリアで活躍している女性は少なく、「正直、キャリアについて深くは考えていなかった」と振り返ります。
入社の決め手になったのは、当時から海外拠点を多く持っていたアルプスアルパインに対し、グローバル展開への将来性を感じたことでした。大学で英語英文学を専攻し、語学力を仕事に活かしたいと考えていた中、海外営業部のポジションがある点にも興味を覚えたと言います。 - 「もう一つ、決め手として大きかったのは父からのアドバイスでした。学生だった自分にはBtoBの企業よりもBtoCの企業、さらに大企業のほうが身近に感じやすく、憧れを抱きがちでした。イメージに流されて会社を見ていた私に、父は『大きいからとか華やかだからといった理由で企業を選ぶのは止めなさい。自分のポジションをきちんと描ける会社、居場所を見つけられる会社を選びなさい』と言いました。その言葉は、今もふと思い出すほど、会社選びの大事な指針だったなと思っています」
- 入社後は、希望が通り海外営業部に配属され、ヨーロッパのお客様を担当することになった山崎さん。当時は、「日本企業と言えばソニーやシャープなど日系の大手セットメーカー(部品を調達し、最終製品である自社ブランドを出荷するメーカー)が主流だった」そうで、社内でいかに自分の担当顧客に対して動いてもらえるか、優先順位を上げてもらうにはどの様に働きかければ人は動いてくれるのか、という事に日々格闘していました。
- 「入社当時はメールやスマートフォンを業務で使っていない時代、朝出社すると時差のあるヨーロッパからの注文書や新規の問い合わせのFaxが山の様に届いる状態、入社当時は毎朝そのFaxを“山崩し”の様にさばいていく毎日、1日があっという間に過ぎていく日々でした。
入社1年目は、ベルリンの壁が崩壊(1989年11月)した直後で、ヨーロッパ全体が激動の時代でした。93年にはEU(欧州連合)が設立され、『ユーロ』が導入されるなど、忙しいとか大変とか感じる余裕もないくらいに、想像もできないような変化が次々と起きました。自然と20代は仕事に追われて過ぎ去っていました」
キャリア観を大きく変えた、中国工場の視察
- 大きなターニングポイントになったのが30代前半での中国工場視察でした。当時の片岡昭社長が「中国の工場では、現場の第一線で多くの女性社員が活き活きと働いている」と日本で働く女性の活躍状況と非常に大きなギャップがあるとの事から「現地でどんな働き方をしているのか見てきてほしい」と女性メンバー10数名に1~2週間の工場視察の機会を与えていただきました。
- 「営業や設計、品質保証など複数部署から選ばれたメンバーの一員として、私も工場視察に行かせてもらう事ができました。90年代の日本社会は、女性は結婚を機に仕事を辞めるのが一般的と言われ、20代で退職することがほとんど。工場の生産ラインで働く方以外、総合職、特に営業部門では30代以上の女性はほとんどいませんでした。中国の工場では、役職に就き、部下を持ったパワーあふれる女性社員が本当に楽しそうに働いていました。『こういう働き方、生き方もあるんだ』と大きな刺激になりました」
- 「この視察は、社内でダイバーシティ意識が高まる一つのきっかけになった」と振り返る山崎さん。外に目を向けて、変化を取り入れていこうとする社風は、山崎さんのアルプスアルパインでのキャリアをも後押ししていくことになりました。
- 「忙しさから『この働き方のまま続けていけるだろうか』と不安になり、転職を考えていたこともあります。悩んでいるところに『こんなプロジェクトをやってみないか』と上司から提案され、海外営業の仕組みを学ぶことになったり、販売システムの見直しに携わったりと、本当に様々な経験をさせてもらいました。
中国の工場視察もその一つですが、いろいろなチャンスを提示してくれる会社だったからこそ、仕事の幅が広がり、挑戦心をかき立てられ、今も続けられているのだろうと思っています」
→「後編記事」につづきます。
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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子





