キャリアアップと夫婦円満。管理職女性がどちらも叶える方法とは
社内では相談しづらい悩みや本音を語る、女性管理職のオンライン匿名座談会。今回のテーマは、「キャリアアップと夫婦関係」。仕事だけを頑張るわけにも、家庭のことだけを考えるわけにもいかない、既婚者の管理職女性。キャリアアップもして夫婦円満…そのようなことは可能なのか? 3名のリアルすぎる話が飛び出します。
【参加者】
Aさん(34歳):広告業界でリーダー職。研究職の夫と2歳の娘さんの三人家族。
Bさん(47歳):メーカー勤務の課長職。夫はフリーランスの映像ディレクター。保育園に通う娘と小学生の息子の子育て中。
Cさん(49歳):出版業界で雑誌の編集長を務める。夫も別メディアの編集長。夫婦二人暮らし。
妻が管理職に! その時、夫の反応は…?
- ーまずは、夫婦間で役職・収入面での格差を感じることはありますか?
- Cさん:夫は同業で同じ役職なので、大体収入も同じ。その点、格差は感じないですね。
Aさん:私の場合、夫は役職がついていないですが、「研究職」という私には想像もできない仕事内容。それもあって格差のようなものを感じたことはありません。
Bさん:夫がフリーランスで収入が不安定な分、私も頑張らなきゃという気持ちはあります。ちなみに住宅ローンのペアローンも私が多く出していますし、子どもも私の扶養に入っています。でも、だからといってそれを格差だとは感じないですかね。
Aさん:私が知らない世界で頑張っている夫をリスペクトする気持ちの方が強いかもしれないです。
Bさん:わかります。そもそも私も仕事が好きだし、「夫に養ってもらおう」と思っているわけではないですし(笑)。
Cさん:そうなんですよね。そして夫からも「家庭に入って」とは言われていない(笑)。むしろ、夫とは「お互い仕事も頑張ろう!」みたいな雰囲気。私の場合、先に夫の方が役職に就いていたので、管理職になった時も「わからないことはなんでも聞いてね」と言ってくれました。
Aさん:素敵な関係です! 私も元々残業が多い働き方だったこともあり、私が管理職になっても、夫の働き方に影響があるわけではなく。夫も純粋に出世を応援してくれています。
Bさん:我が家は子どもが二人いるので、どちらかが忙しい時はどちらかが家のことをカバーしなくてはならない状況。夫が自由な働き方をしている点には助けられています。
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- Bさん:保育園の送迎や子どものお風呂など、時間のリミットが決まっていることは、自由に動ける夫に任せることが多いです。
Cさん:たしかに、お子さんがいると家事の分担も大変ですよね。我が家は大人二人暮らしなので、炊事、掃除、洗濯全て「一人分の延長」という感じです。子供がいたら揉めていただろうなと思います。Aさんは夫婦で担当を細かく決めていますか?
Aさん:子どもの送り迎え担当は決めていますが、それ以外は「できるほうがやる」としています。私が残業が多いので、必然的に夫の負担が多いかもしれないです。だから夫の反応が気になり、仕事をセーブすることもあります。別に文句を言われるわけではないんですけどね(笑)。
Bさん:私の場合、夫にはそこまで気を遣わないのですが、子どもに対して罪悪感を感じることがあります。リモートワークで会議中に子どもが横で泣いているのを後回しにしなければならない場面は、胸が張り裂けそうになります。あと、子どもの体調不良で会議を欠席したり、自分も子どもの風邪がうつって仕事を休んだり…。管理職を続けられないかもと思ったことは正直、何度もありました。
Aさん:身につまされます…。
Bさん:でも、夫も融通が利く働き方で家事育児に協力的。私もリモートワークができる仕事だからこそ、管理職を続けられています。リモートワークができなければ、管理職はオファーの時点で断っていたかもしれません。
Cさん:キャリアアップに前向きになれるかどうかも、自身と夫の働き方、そして夫のタイプ次第なところもありますよね。私たちはどちらかが忙しくなっても「それはそれ」として受け止められています。パートナーに色々と干渉したい性格の夫だったら、お互いの仕事をここまで尊重し合えなかったと思います。
夫婦間で「仕事の話」はNG?
- ーお互いのキャリアプランについては、夫婦で共有していますか?
- Aさん:子育て中は何があるかわからない。だからキャリアプランを決めすぎると上手くいかない時に落ち込んでしまうかなと思い、そもそもお互いあまり決めていません。
Bさん:うちも「将来こんなふうに働きたいね」というレベル。転職や新しい仕事を始めるような節目の時期に話してますかね。
Cさん:私もキャリアプランまでは話してないですかね。むしろ「お互い仕事の話はなるべく家庭ではしない」ことが夫婦円満の秘訣だと思います。それよりも日々の生活の話をした方が、健全だし建設的だなと。
Aさん:仕事の話って、価値観がぶつかることもありますよね。仕事に対して大事にしているポイントも人によって違うから、夫の意見を尊重して寄り添うことは意識しています。
Cさん:尊重、大事ですよね。結局のところ「自分がされて嫌なことはしない」「自分がされたら嬉しいことをやる」が、夫婦円満と仕事の両立の基本かなと思います。
例えば、夫が仕事の愚痴を言ってきた時、「こうしたらいいのに」とアドバイスしたくなることもありますが、基本的には黙って聞く。相手の仕事内容を細かく把握しているわけでもないのに、一般論で返されると私だったらイラッとするでしょうし(笑)。
Bさん:わかります。お互い仕事の愚痴は話すけど、アドバイスまではしない。思い返してみれば、私が仕事の愚痴を話す時、夫もそのスタンスで話を聞いてくれています。
仕事を頑張りつつ、家事も丁寧にしたい。
- ー仕事と家庭のバランスについて、今後どのような比重で両立していきたいと考えていますか?
- Bさん:今と同じく、仕事:家庭=7:3が理想です。ただ、今は家事の多くを夫に頼ったり諦めたりすることも多くて、逆に自分にイライラすることも。
今後子どもの手がかからなくなってきたら、家事ももう少し丁寧にできたら良いなと思います。
Aさん:私はまだ子どもが2歳と小さいので、もう少し家族の時間がほしいという点で、仕事:家庭=5:5が理想ですかね…。フルタイムで残業は少なめだと尚良しです。
Cさん:私はわりと自由に自分の時間が使えるので、自分の心身が健やかに働き続けられるバランスを見つけていきたいですね。やっぱりキャリアアップも夫婦円満も、まずは自分の健康第一です!
ひとくちに「夫の協力」と言っても、3名ともその状況はバラバラ。結局のところ、「キャリアと家庭の両立」のための絶対的な法則は無く、お互いの仕事を尊重し、寄り添い合う姿勢をとることが大切なのかもしれません。