部下の自己成長を促す名言
マネジメントで重要な仕事の一つといえるのが、“部下の成長促進”です。うまく働きかけるためには、いかに部下の仕事へのモチベーションを高め、「自己成長」を促せるかがポイントになります。
そこで今回は、ぜひ声掛けとして活用したい「部下の自己成長を促す名言」をご紹介します。
部下の成長意欲やチャレンジ精神をかき立てる名言
- 『もうこれで満足だという時は、すなわち衰える時である』
≪渋沢栄一≫
「近代日本経済の父」と称される実業家。1840年生まれ、現在の埼玉県深谷市の農家出身。幼少期は家業の畑作、藍玉の製造・販売、養蚕を手伝うかたわら、学問にも精を出し、本格的に論語などを学ぶ。
1866年、江戸幕府第15代将軍となった徳川慶喜の直属の家臣となり、パリで開催された万国博覧会に参加。パリ万博やヨーロッパ各国の実情を視察し、先進諸国の社会の内情に広く精通する。欧州から帰国後、1869年に「商法会所」を静岡に設立。明治政府に招かれ、大蔵省の一員として国づくりに関わる。1873年に大蔵省を辞し、第一国立銀行の総監役に就任。第一国立銀行を拠点に株式会社組織による企業の創設・育成に尽力し、生涯に約500社もの企業の設立や運営に関わる。
渋沢氏が残した『もうこれで満足だという時は、すなわち衰える時である』という言葉は、彼の生き方そのものを表している名言です。
彼はその生涯を終えるまで、常に目標を持って止まることなく走り続けました。幼少期から学問に勤しみ、渡欧した際にはヨーロッパ諸国の近代化した社会制度や先端技術を吸収し、帰国後はその知見を活かして日本経済の礎を築きました。新たな学びや挑戦に貪欲だった彼の生き様は、まさにこの名言を体現していると言えるでしょう。
その場にとどまること、現状維持に徹することは安心・安定に思えるかもしれません。しかし次第に、変わりゆく時代の流れについていけなくなり、衰退の一途をたどるおそれがあります。現状に疑問を持ち、さらに良くなろうとする意欲を持ち努力する者だけが、功績を作り続けることができるのではないでしょうか。
一度の成功にすがり現状に満足している部下に、ぜひ伝えたい名言です。
大役を担い緊張している部下を鼓舞する名言
- 『緊張は成長痛』
≪ROLAND≫
実業家、タレント。株式会社ROLAND GROUP HD 代表取締役。1992年生まれ、東京都八王子市出身。座右の銘は「世の中には2種類の男しかいない。俺か俺以外か」
サッカーの名門校として知られる帝京高校を卒業後、大学に進学するも中退し、18歳でホストの世界へ飛び込む。ホストデビューからわずか2年で、当時勤務していたクラブの代表に就任する。8年間の現役ホスト経験を積み、26歳で独立。株式会社ROLAND GROUP HDを設立する。現在はホストクラブの運営の他、化粧品開発・販売や美容皮膚科クリニック、美容室、飲食店の経営など、さまざまな分野で実業家としての手腕を発揮している。
ROLAND氏といえばビックマウスとして有名であり、実績と自信に裏付けされた名言を数多く残しています。『緊張は成長痛』という言葉は、自身の著書『君か、君以外か。 君へ贈るローランドの言葉』の中に書かれている名言です。
彼は「緊張することは、恥じゃない。その高鳴る鼓動は、自分が成長している音だ」と著書で語っており、「緊張は君にとっての、最高の成長の瞬間だ!」とポジティブに捉えています。一方で、TV番組で「ローランドさんは緊張しますか?」と聞かれた際には、「僕は緊張する側ではなく、緊張させる側なんで」との名言を残しています。
自身は緊張しないと語るROLAND氏ですが、その人生がトントン拍子だったわけではありません。高校時代のサッカー部での挫折や、ホスト駆け出しの下積み時代を乗り越えて今があります。当然、緊張、不安といったネガティブな感情を抱くような困難も何度もあったはずです。しかし、持ち前の反骨精神とポジティブ思考で、障壁を前向きな解釈に変換することで成功を手にしてきました。
仕事では自分が主役となり、プロジェクトを進めていく経験が訪れることもあるでしょう。まだ慣れない部下たちは、自分に大役が務まるのか、緊張に押しつぶされそうになる時がきっとあるはずです。そんな時に、ぜひ伝えたい名言です。
変わることに臆してしまう部下に伝えたい名言
- 『変わることがなければ成長することもない。成長することがなければ真に生きていない』
≪ビル・ゲイツ≫
実業家。マイクロソフトの創業者。1995年生まれ、アメリカ合衆国ワシントン州シアトル出身。
わずか13歳でプログラミングを始め、のちにマイクロソフトの共同設立者となるポール・アレンとともにプログラム開発で報酬を得るようになる。その後、ハーバード大学に進学するも中退。1975年にマイクロソフトを設立する。創業10年後の1985年には「Windows」を発表。発売当初は他社と比べると優秀なソフトウェアではなかったものの、その後何度も改良を重ね、1995年に発売した「Windows95」をきっかけに世界的なヒットを記録する。また、同時に導入した「Internet Explorer」も爆発的な人気となり、世界最大のPCソフトウェア企業としてその名を世界に知らしめた。
『変わることがなければ成長することもない。成長することがなければ真に生きていない』という名言は、マイクロソフトを世界的企業へと成長させる原動力ともなった名言です。
ソフトウェア業界は競争が激しく、絶えず変化が求められる世界です。他社の模倣をしていても抜きんでることはできず、一時人気を博しても数年後にはトレンドについていけなくなります。改善を繰り返して常に変化が求められるのです。
とはいえ、変化し続けることはそう簡単なことではありません。変化することは成功の可能性と同時にリスクも伴い、以前よりも悪い結果になってしまうことも想定されます。しかし、彼は迷わず行動して変化し続ける道を選び、その結果として大きな成功を収めたのです。
部下からすると、過去の成功体験にならった仕事の進め方なら間違いが少なく、安心かもしれません。しかし、そこにメスを入れられるかどうかが部下の成長を左右します。現状のやり方に固執し、変わることに臆している部下にぜひ伝えたい名言です。