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経営資源のヒト・モノ・カネ・情報とは?わかりやすく解説

企業にとって「ヒト・モノ・カネ・情報」は、重要な経営資源です。これらをどのように活用・配分するかによって、企業の成長や競争力は大きく左右されます。

 

この記事では、基本的な4つの経営資源に加えて、マッキンゼーで考案された経営資源についてのフレームワーク「マッキンゼーの7S」、また経営資源の最適化についてもわかりやすく解説します。

経営資源とは?

経営資源とは、企業が事業活動を行ううえで不可欠な要素を指し、一般的には「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つに分類されます。

これらは相互に影響して企業活動を支えています。順番に解説していきましょう。

ヒト

企業活動の根幹を担うのが「ヒト」、すなわち人材です。経営資源の中でも「ヒト」は最も重要な要素だと言われています。

組織の成長を実現するためには、優れた人材の採用・育成が不可欠です。特にVUCAの時代と呼ばれる予測不能な現代では、単なる労働力ではなく、創造力や判断力、柔軟な思考を持った人材が求められています

ヒトは投資価値のある「資源」であり、企業成長の原動力といえるでしょう。

モノ

「モノ」は、商品や設備・不動産など、目に見える物理的資源を指します。

製造業に限らず、サービス業でもモノの質は顧客満足や業務効率に直結する要素です。また適切な設備投資やオフィス環境の整備は、社員のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。

カネ

「カネ」は資金・資産・収益・負債など、企業の財務要素を指します。

資金調達、投資、コスト管理など、あらゆる意思決定において財務の視点は欠かせません。経営資源の「カネ」が潤沢であれば、その分「ヒト」「モノ」「情報」に投資できる量も質も上がるのです。

健全な財務基盤を保つためにも、適切な予算配分や収支管理を行うことが重要です。

情報

「情報」は市場動向、顧客ニーズ、競合分析、社内データなど、企業活動に必要な情報やデータを表します。

一昔前までは、経営資源は「ヒト・モノ・カネ」の三つだと言われていましたが、現代の経営において情報は「第4の資源」として重要性を増しています。

IT技術の進歩により、情報の蓄積・可視化・活用はかつてないスピードで進化しており、経営者は多様な情報を収集・分析し、意思決定に活かす力が求められます。正確で迅速な情報活用が、他社との差別化や競争優位性の確立につながるのです。

ヒト・モノ・カネ・情報の最適配分とは

経営資源は単独で価値を発揮するのではなく、バランスよく配分・活用することで最大の成果を生み出します。例えば、優れた人材がいても、設備や資金が不足しているとその能力を最大限に活用できません。同様に、資金が潤沢でもノウハウやシステムがなければ効果的な事業展開はできないのです。

また、経営資源の最適な配分は企業が置かれている状況によって異なるため、状況に応じて配分を見直す柔軟性も重要です。成長フェーズでは人材や設備への投資が求められ、安定期には効率化やIT化に資源を割くことで一時的には負荷がかかっても将来的な投資につながるでしょう。現場の声を聞き、状況を可視化することが、最適な配分への第一歩です。

経営資源を強化するための施策

ここでは各リソースを効果的に強化する具体的な方法を紹介します。

研修やキャリアデザインの支援で人材育成

「人材(ヒト)」は企業の競争力を左右する最も重要な資源のひとつです。

社員の能力開発のためにはOJTや研修の実施、キャリアデザインの支援などが効果的です。自律的な成長を促す制度や風土を整えることで、企業全体の知的資産が蓄積されていきます。

また、企業理念の浸透や会社の経営方針の共有、モチベーションの向上のために期初にキックオフなどを開催するといった事例もあります。

社員のキャリアデザインについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3281/

設備投資や技術力の強化を行う

製品やサービスの品質を左右する「モノ」の面では、定期的な設備更新や最新技術の導入などが企業の競争力に大きく影響してきます。古くなった設備を更新することで、生産性や安全性の向上にもつながりますし、社員のモチベーション向上にも繋がります。サービス業であれば、顧客が使う空間を整備することは売上にも直接的に関わってくるでしょう。また研究開発への投資も、将来的な成長を支える重要な要素です。

いずれも経営者が現場の声をよく聞くことが大切であり、管理職は現場の声を経営者に届けることが大切です。

予算管理を適切に行う

「資金(カネ)」の管理では、無駄を省くための予算管理体制の整備が重要です。収支の見える化やコスト意識の浸透により、限られた資金を最大限活用できます。また、財務体質を健全に保つことで、外部からの信頼を得ることにもつながります。

予算管理については下記の記事もご覧ください。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3632/

業務のIT化・DX化を推進する

「情報」の強化には、業務プロセスのIT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が有効です。

クラウドの活用やデータ分析ツールの導入により、業務効率や意思決定の精度が向上します。情報の整備と共有は、組織の柔軟性とスピードを高めるカギとなります。

マッキンゼーの7S

かつての「ヒト・モノ・カネ」の経営資源に「情報」が加わったように、経営資源は時代に応じて変化するものであり、実は昨今では、経営資源は5つ以上あるとも言われています。ここでは、一例としてコンサルティングで有名なマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱した「マッキンゼーの7S」についても紹介します。

マッキンゼーの7Sとは、合計7つの経営資源をハードとソフトの2つに分け、さらにその資源を元に最適な事業戦略を考えるフレームワークです。現在でも経営や組織のコンサルティングなどの場面で幅広く用いられています。

マッキンゼーの7Sでは、戦略や組織といった会社に起因するものを「ハード」、人材やスキルのような人に起因するものを「ソフト」と位置付けています。

ハードの3S

ハードの3Sは「戦略・組織・システム」で構成され、企業の構造や方針の基盤を担います。

戦略(Strategy)

戦略とは「企業の目標を達成するためのシナリオ」を指します。

企業がどの市場でどのように競争し、目標を達成するかを定める指針です。自社の内部環境、自社を取り巻く外部環境の双方を踏まえて、適切な戦略を設計する必要があります。

「経営戦略」については下記の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3297/

組織(Structure)

組織とは、企業内の役割や指揮命令系統、権限などの体制を指します。

明確な組織構造は、迅速な意思決定や業務遂行を支える重要な土台です。組織が複雑になると円滑な情報共有が阻害され、トラブルの原因にもなります。

また役割が明確であれば、メンバーが自身の責任を理解し、自律的に動きやすい環境が生まれます。

システム(System)

システムとは、給与規定や人事評価制度、会計管理や顧客管理などの各種仕組みを指します。

システムと聞くと「ITツール」を想起しがちですが、ITツールはあくまでツールであり、ここでのシステムとは、大元の仕組みを意味します。効率的なシステムが整っていれば、無駄なリソースを減らし、生産性を高めることができます。

ソフトの4S

ソフトの4Sは「価値観」「スキル」「人材」「スタイル」の4つで構成され、組織文化や人間的要素に関わるものであり、目に見えにくい一方で経営に大きな影響を及ぼします。

価値観(Shared Value)

価値観とは、企業が共有する経営理念や信念を指します。

自社に企業の理念や価値観を浸透させることで、経営方針が受け入れられやすい土壌が生まれ、組織は一体感をもって動くことができます。例えば、「顧客第一主義」を掲げる企業では、最終的な判断基準を顧客に合わせることで、意見が割れても合意が取りやすくなるのです。

スキル(Skill)

「スキル」とは、自社のメンバーやチームが持つ専門的な知識や技術を指します。

また特定の人材の能力だけでなく、組織全体にどのようなスキルが蓄積されているかも含めます。教育・研修の機会を整え、技術的なアップデートを続けることが競争優位の鍵になります。

社員が持つスキルを新人に伝えていくために、社内勉強会などの取り組みが行われている事例もあります。社内勉強会についてはこちらの記事もご覧ください。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3353/

人材(Staff)

人材とは、組織が継続的に成長するために必要な資質や能力・モチベーションを持った人のことを指します。

ここでの人材は、単に「数」ではなく「質」が重要です。例えば、リーダーシップを発揮する人材、多様な価値観を持つ人材、柔軟な対応ができる人材などの確保が求められます。また最初から優秀な人材を雇用するだけでなく、内部の人材の育成やモチベーションを高めることも非常に大切です。組織の発展のためには、社員のエンゲージメントを高めるマネジメントが必要なのです。

社員のワークエンゲージメントを高める方法についてはこちらの記事もご覧ください。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-2669/

スタイル(Style)

スタイルとは、企業文化や企業風土を指します。

企業風土や企業文化は「価値観」にも通じる部分があり、経営陣やリーダーがどのような価値観を持って作り上げていくかが大切なポイントになります。例えば、現場主義のスタイルとトップダウン型では、現れる組織文化も変わってきます。

経営スタイルは企業文化を形成し、社員の行動様式にも影響を与える重要な要素です。

まとめ|経営資源を理解し、企業力を高めよう

経営資源には「ヒト・モノ・カネ・情報」という基本の4要素があり、それらを適切に分配・強化することが大切です。さらに今回は、マッキンゼーの7Sといった実用的なフレームワークも紹介しました。

経営資源を適切に配分・強化することで、企業は持続的な成長を実現できます。状況に応じた戦略的な運用で、変化の激しい時代を生き抜く企業力を高めていきましょう。

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