働く上での価値観のアップデート、意識していることは?
社内では相談しづらい悩みや本音を語る、女性管理職のオンライン匿名座談会。今回のテーマは、「価値観のアップデート」。目まぐるしく変化する現代。自分にとっての当たり前が、通用しなくなることも。特に管理職は若手社員と接する機会も多く、そのギャップを感じることも多いはず。皆さんどのようにアップデートしているのでしょうか?
【参加者】
Aさん(34歳):広告業界。リーダー職。2歳の娘さんの子育て中。
Bさん(49歳):IT関連企業の労務部マネージャー。現在の部下は2名。
Cさん(50歳):旅行業界。部下6人の課長職。
人一倍ハラスメントに気を遣う管理職世代
- ーー後輩や若手社員と接して、自分の感覚と異なると感じることはありますか?
- Aさん:20代の社員には個人の考えをしっかり主張するタイプが多いなと感じます。私は仕事に対して「この業務はしたくない」といった主張はしないタイプなのですが、業務内容や仕事相手との相性について主張する後輩も結構多いです。
Bさん:自分たちの世代よりも、より自由な働き方を求めているような気がします。仕事とプライベートの境界線がはっきりしているイメージです。
Cさん:たしかに、その境界線はかなりドライですよね。会食やランチミーティングも業務時間だと意識している若手が多い印象です。
Bさん:だから最近は管理職の立場から、ランチに誘うのも躊躇してしまって…。
Cさん:そうなんですよ。後輩を会社帰りにお茶や食事に誘うタイミングがわからなくなり、声をかける頻度が減っています。
Aさん:わかります。少し踏み込んだコミュニケーションはハラスメントと捉えられかねないので、マネジメント側が気を遣うことが増えたと感じます。
Bさんですよね。面談時も、若いメンバーにはこちらからプライベートな事を聞くことは控えるようにしています。
自分の経験に固執しないことが大切
- Aさん:色々と変化に戸惑う一方で、ハラスメント対策用の管理職向け研修や、社内ホットラインなど、会社側の対策が充実しているのは良いことだなとも感じます。
Bさん:たしかに、私が若手社員の時代に比べ、若手が職場で叱責されている姿を見なくなりました。自分じゃなくても誰かが怒鳴られていると、とても緊張したしストレスでしたよね。今の方がみんな伸び伸び働いているかも。
Cさん:ただ、何か問題が発生した時に静かに別室で指導が行われているから、どんな問題が発生しているのか外から見えにくいなとは思います。以前はフロアやデスクで上司と部下がよく話し合っていたから、なんとなく他部署の状況がわかったけど、今は自分のチーム以外の状況がわかりづらい。
Bさん:言われてみれば、フロアが静かになったかもしれないです。
Cさん:電話で話す文化もなくなってきましたからね。取引先とのコミュニケーションもチャットやメールで完結させる傾向があります。
Aさん:そう言えば私も取引先へ部下を連れて行こうとしたら「その同行、私必要ですか?」と聞かれたことがありました(笑)。時には対面や電話でのコミュニケーションが必要な場合もあるんだよと説明したけど、伝わったかな…。
Bさん:その発言は辛いかも!(笑)でも、自分の経験だけに固執した仕事のやり方や価値観を押し付けるのもよくないですし…。
Aさん:若手社員の考えを一旦受け入れることが、柔軟な考え方にも繋がるのだと自分に言い聞かせて意識しています。
Cさん:そうですよね。私も最近、対面よりもテキストコミュニケーションの方が得意な人もいるんだと受け入れました。どちらの方が相手にとってストレスなく伝わりやすいのか、使い分けを意識するようにしています。
若手社員とのギャップを、ChatGPTに相談!?
- Cさん:世代だけじゃなくて立場や環境変化でも価値観って変わりますからね。私も長いこと働いているうちに、自分の価値観が日々変わっていると自覚しています。
だから、若手社員との違いは仕方ないことだし、「なぜ」をあまり突き詰めないようにしています。ChatGPTに聞くことはあるけど(笑)。
Aさん:もはやツールの使い方さえもアップデートされています! 私も若手とのコミュニケーションについて質問してみようかな…。以前、業務上の指摘をしたら口を聞いてくれない状態になってしまったことがあり、悩んでいたので。
Cさん:ChatGPTはあくまで参考程度にですよ!(笑) 基本的には、若手社員の意見を傾聴することで、うまくコミュニケーションをとるようにしています。
自己主張が多いのは、キャリアビジョンが明確な証かも
- Bさん:自分の意見を押し付けないためにも、傾聴の姿勢って大事ですよね。若手社員の話を聞いていると、自身のキャリアや希望する職場環境などが明確な人が多い印象です。だから我々管理職に対して自己主張するシーンが増えているのだろうなと。
Aさん:なるほど。育休制度の取得率向上やリモートワーク等の自由な働き方を選択できるようになったからこそ、キャリアプランを、プライベートまで含めて広く考える若手社員が増えた。これはとっても良いことですよね。
Bさん:まさに。仕事の自由度が増しているが故に、自分で判断すべきことも増えています。その判断が自分本位になりすぎている時は軌道修正してあげるのも管理職の役割だと感じます。
Cさん:あとは、部下が素直に話せる関係性になれるように、管理職側からの自己開示も必要。相手のプライベートに踏み込むことはしないけど、こちらはオープンマインドで。難しいけれど、そういった姿勢が求められていますよね。
どの世代でも感じている、価値観の変化。柔軟に対応しながらもそれぞれの葛藤も見られた座談会となりました。