女性管理職のための“タイパ”を上げる仕事術。すぐに実践できるコツを紹介!
今回のテーマは「タイパ」について。“時間対効果”を指すタイムパフォーマンスの略語ですが、当然、仕事でもタイパは意識したい点。そこで、働く女性のタイパを上げる仕事術をミホさんとマユミさんが紹介します。
34歳独身。明るく人懐っこい笑顔で、愛され上手。一方で、ややがさつな面もあり、不用意な一言で周囲をヒヤリとさせることも。営業職から企画職に移り、そろそろマネジメントを任されそう。親からは早く結婚するよう急かされているのも、モヤモヤのタネ。
42歳既婚。いつも落ち着いていて、気配り上手な優しい先輩……というのは表の顔で、実は些細なことで悩みがちな小心者。寝る前はその日の自分の言動を振り返ってモヤモヤするのが定番。現在はミホさんの隣の課の課長。小学生男子の子育て中。
目次
タイパを上げる仕事術とは、短い時間で信頼される働き方のこと
ミホさん
最近、タイパという言葉を良く聞くようになったので、スピードアップを目指して仕事をしてみたのですが、思わぬミスをしてしまって結局修正作業に時間がかかってしまったことがあります。そこで気が付いたのですが、仕事においてのタイパはただスピードばかり追うのではなく、生産性も上げるという視点が大切ですよね。
マユミさん
そうだよね。生産性を数式に表すと、成果/時間。働く時間を減らしつつ、同時に成果を上げる意識が必要だよね。いくらAIなどのツールを使ったとしても、チームのメンバーやお客様は人間。人同士が気持ち良く働いて、質を上げ、信頼される仕事をする時間の使い方が真のタイパが良い働き方だと思うよ。
ミホさん
たしかに、そういう意味で言うと、タイパが良いと思って雑な仕事をしてミスをしてしまうことが、実は最もタイパが悪い働き方ですよね。ミスが発生するとやり直しの時間の無駄が発生するだけではなく、社内外からの信頼もなくなりますし。
マユミさん
同じ時間働いていても、ミスなく丁寧に成果を上げる人が、タイパが良い人なんじゃないかなと思う。
ミホさん
そういう人って、時間に追われていないから、いつも穏やかに働いている印象です。
マユミさん
特に、私のような管理職や、ミホさんのように管理職候補は、自分の仕事だけで手一杯な状況ではなく、人の面倒まで見られるような視野の広さと時間の余裕を作っていかないとね。そこを目指せば、会社にとってもかけがえのない人材になれるし、後輩のロールモデルになれるんじゃないかなと思っているよ。
ミホさん
その余裕のためにも、タイパ術は身に付けておきたいスキルですね!
タイパを上げる、6つの仕事術
ミホさん
マユミさんは仕事と家庭を両立されていて、タイパが良い働き方をしていると尊敬しています。意識しているコツはありますか?
マユミさん
ありがとう! 意識している点は6つあって、①計画をする、②準備をする、③仕事の優先順位をつける、④割り込み仕事に振り回されない、⑤報連相をする、⑥過剰サービスをしない、ということ。
ミホさん
それぞれ詳しく教えてください!
マユミさん
「①計画をする」というのは毎日ToDoリストを作ってから仕事をすること。そうしないと朝メールチェックから始まって、その対応をして周りに振り回されながらなんだかよくわからないうちに1日が終わってしまうこともあるから……。
ミホさん
すごく疲れたのに、自分の仕事が全く進んでいないことってあるあるですよね。
マユミさん
そして、ToDoリストには「ここまで終わったらおやつを食べる」「18時に友人とご飯」など、楽しみも入れておくとメリハリがつくからオススメだよ。
ミホさん
良いですね。特にリモートワークだとダラダラと仕事をしてしまいがちなので、休憩や仕事終わりも決めると集中してタイパ良く働けそうです。
マユミさん
「②準備をする」は、定型業務だったら前回の資料やマニュアルに目を通したり、会議の前にアジェンダをまとめておいたり。いきなり業務に取り組まないことで、遥かにスピードアップするよ。
ミホさん
準備の時間は一見省いてもいいものかと思いきや、結果的にタイパをあげてくれるのですね。
マユミさん
そうだね。「③仕事の優先順位をつける」は、目の前にある仕事からやっつけていくのではなく、重要度と緊急度が高い仕事から取り組むの。そうすれば「④割り込み仕事に振り回されない」ようになるよ。
ミホさん
なるほど。つい上司から振られた仕事を先にしたり、届いたメールに返信したりしてしまいがちですが、本当に今やるべきことは何なのか、判断軸に重要度を加える必要がありますね。
マユミさん
私は重要度が高い仕事に取り組んでいる時は、メールやチャットのポップアップを消してしまうこともあるよ。集中して取り組んで、終わったら自分のタイミングでチェックするようにしている。
ミホさん
ポップアップって、意外と気が散りますもんね。
マユミさん
「⑤報連相」は、こまめに進捗を共有することで最終的な「やり直し」を避けるため。例えば資料作成でも2割くらいの段階で一旦上司に提出してみるとかかな。
ミホさん
自己判断で仕事を進めてしまうと取り返しのつかないミスにもなりかねないですし、基本ですが大切なことですね。
マユミさん
最後の「⑥過剰サービスをしない」というのは、相手に求められていないことに時間をかけないということ。例えばチームミーティングの資料は箇条書きでいいのに、凝ったPowerPointを作ってしまうとか、電話のメモを丁寧に清書し直すとかね。
ミホさん
そういう無駄って結構ありそうですよね。会議の議事録を時間をかけてとても丁寧に書いてくれる方もいますが、そんな細かい発言は盛り込まなくてもいいのにな、と思うことはあります。
マユミさん
良かれと思ってなんだけどね。だから私のチームは、議事録だったら30分以内に提出してもらうようにしているよ
スケジュールに“自分とのアポ”を入れることで、タイパUP
ミホさん
そう思うと、価値のある業務には時間をかけ、庶務雑務は短時間で仕上げるメリハリが大切ですね。
マユミさん
そうだね。タイパをあげるためには、「何分かかるか」ではなくて「何分かけるか」という意識が必要だと思う。例えばメール一通送るのに「15分かかっているなあ」ではなく「5分で終わらせる」という意識づけだけでも変わると思う。
ミホさん
自分で時間をコントロールする感覚を掴むべきですね。
マユミさん
だからこそ、スケジュールには人とのアポばかり入れるのではなく、自分とのアポも入れておくべきだと思う。やるべきタスクの着手日や、本来の締切より前倒しのマイ締切りなど。マイ締切りを設定することで、提出前のセルフチェックが余裕を持ってできるでしょ? そして、業務改善や若手育成などの緊急度は低いけど、重要度が高い仕事もスキマ時間に入れ込むことで、重要な仕事をとりこぼさない。
ミホさん
社内で共有しているカレンダーに入れて、メンバーが見える状態にしているとより良いですよね。カレンダーを埋めないと勝手に会議を入れられてしまうこともあるので。
タイパを上げるために、チャットでの「お忙しいところ恐れ入ります」はNG
ミホさん
ちなみに、割り込み仕事にもなりかねないチャットのタイパ術って何か意識していますか?
マユミさん
結論を先に、できるだけ数字を使って主観と客観を分けて、相手に何をしてほしいかを伝えるようにしている。あと、無駄に丁寧に書き過ぎないことかな。
ミホさん
具体的にどういうことでしょうか?
マユミさん
「△社の予算の件ですが、××円で提案します。○日までにご確認お願いします」のように、なるべく簡潔に。社内だったら「お願いいたします」ではなく「お願いします」を使うし、「お忙しいところ恐れ入りますが」は使わないかな。
ミホさん
それこそ過剰サービスですもんね。
マユミさん
パッと見でのわかりやすさも大切だから、箇条書きで情報を整理するのも良いと思うよ。
ミホさん
そうですね。こういったちょっとしたコツって、自分の時間を大切にするのはもちろん、相手の時間も大切にしていますよね。
マユミさん
そうなんだよ。マイペースを維持するために120%で頑張るのではなく、手を抜けるところは手を抜きながら80%を目指して、一緒に仕事をする人も気持ち良く働けるようにすることが、管理職が目指すべきタイパだと思うよ。
POINT
①管理職にとってのタイパが良い働き方とは、短時間でミスなく丁寧に働くことで、周囲も気持ち良く仕事ができるようにすることがゴール
②価値のある業務には時間をかけ、庶務雑務は短時間で仕上げるメリハリが大切
③時間に振り回されるのではなくコントロールするために、仕事の優先順位を大切にする
監修者:鈴木真理子
株式会社ヴィタミンM代表取締役、ビジネスコンサルタント。「ミスなし、ムダなし、残業なし、信頼される仕事術」を提唱し、多くの企業研修や公開セミナーにおいてビジネスパーソン3万人以上に指導を行う。著書に『絶対にミスをしない人の仕事のスゴ技BEST100』『ミスなし、ムダなし、残業なしに変わる! テンパリさんの仕事術』(青春出版社、2023年7月21日発売予定)など。