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マイキャリアストーリー

『“サポートがあってこその両立” 周りを頼ることで仕事も自分もラクになれた』
トヨタ自動車 UI商品開発部 志土地さん【前編】

誰しも迷うキャリアの決断。管理職として活躍する女性はいつ、何に悩み、どう決断してきたのか。キャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

今回は、トヨタ自動車株式会社 UI商品開発部でグループ長を務める志土地さんにお話を伺いました。

※所属・役割は取材時点のものとなります。

志土地(しどち)さんのイメージ画像

志土地(しどち)さん

トヨタ自動車株式会社 UI商品開発部 GM(グループ長)
2010年、技術職として新卒入社。以来、一貫してトヨタ新システム「パノラミックビューモニター」の開発に取り組む。2015年~2016年、2018年、2023年~2024年に産休・育休を取得。25年1月よりグループ長に就任

運転が大の苦手、だからこそ“安全”を作る技術開発を手掛けたかった

トヨタ自動車で、周辺監視カメラシステムの開発を手掛ける志土地さん。2010年の新卒入社以来、一貫して携わっているのが、クルマの周囲360度の映像を映す「パノラミックビューモニター」です。トヨタ自動車では、2011年に初めてパノラミックビューモニターを搭載。志土地さんは、途中3回の産休・育休を取得しながら、継続的に機能改善に携わってきました。
「クルマの前後左右の4カ所に設置されたカメラの映像を、継ぎ目やズレなく合成するのが私の担当領域です。複数の映像をどう合わせれば、お客様が見たい絵になるのか。クルマとの通信状況を見ながら、画面に表示させるやり方を開発しています」
学生時代は情報工学を専攻し、「プログラミング技術を使ったレシピ解析」という、今の開発技術とはまったく異なる分野を勉強していました。解析に興味を持ったきっかけは、高校時代に見たドラマ『科捜研の女』だったそう。こんなカッコいい研究者になれたらいいな、と進学を決めたといいます。
「研究内容は、レシピに書かれたあらゆる情報を解析し、指定された食材以外で同じ料理が作れないかを検証する、というものでした。学んだ分野を生かして家電メーカーの開発者になる選択肢もありましたが、より興味を引かれたのが自動車業界でした」
学生時代にクルマがより身近になり、安全に運転できる技術の開発を手掛けたいと思うようになったという志土地さん。そこには、苦い“クルマ体験”があったと話します。
「実は、学生時代から運転が大の苦手でした。友人たちとレンタカーを借りて旅行をするときも、駐車すらまともにできないくらいのレベルで…。友人たちと交代でドライバーになると、安全に運転しなくてはと緊張してしまい、目的地に着いたときにはすでに疲れ切っていることがよくありました。友人たちと同じように楽しく会話しながら運転できたらどんなにいいだろう。そう思ったとき、『誰もが安全に運転できるようなクルマのシステム開発に携われるなら、思いを持って仕事に向き合い続けられるだろう』と考えました」

お客様の声と子どもたちからの眼差しが“技術者”としての誇りにつながっている

そうして入社したトヨタ自動車で、配属されたのは周辺監視カメラシステムの開発部門。まさに志土地さん自身が求めていた“技術開発に携われる環境”でした。
「パノラミックビューモニターは、車庫入れが苦手だった私にとって、まさに『こういう技術が欲しかった!』と思えるものでした。知識がゼロだった1年目から開発プロジェクトに入れてもらい、2年目には、トヨタ自動車として初めてシステムを搭載した車種が販売になりました。お客様からの反響も大きく、中でも印象的だったのは『モニターが搭載されてから、これまでは怖くて運転できなかった大きなクルマも安心して運転できるようになった』という声でした。学生時代の自分が重なって、とてもうれしかったですね」
右も左もわからなかった1年目は、クルマ1台の周りにずっと張り付いて、前後左右の4つのカメラの位置や角度を確認する日々。どうすればキレイな映像を作れるのかをひたすら試行錯誤しながら、少しずつスキルを身に着けていきました。
システムの搭載車種が増えれば、それだけ生産工場も増えていくため、工場ごとの制約事項に合わせて生産効率を上げていく必要が出てきます。市場への安定供給を実現すべく、生産プロセスの改善も重ねていきました。
「開発する側に立つと、『自分がほしい』と思うシステムと、お客様や他部署からのニーズとが必ずしも合致しないケースに直面することがあります。お客様からのニーズがあっても技術的に難しくて実現できない場合もありますし、他部署から『こういう映像を出してほしい』と要望をもらうこともあります。
市場は何を求めているのか、他部署ではどのような課題があるのか、敏感にアンテナを張りながら、どんな要望にも対応できるような技術を身に着けていく。それが、この仕事の難しさでもあり面白さでもあると感じています」
入社以来、一貫して開発を手掛ける中で、2015年、18年、23年に3回の産休・育休を取得してきた志土地さん。子どもたちに技術者として働く姿を見せられることも、仕事のモチベーションの一つになっています。
「上の子2人は小学生。以前、『お母さんはこんな仕事をしているんだよ』と、開発を手掛けたモニター映像を見せたことがあったのですが、『ええ!こんなものを作れるの⁉』と驚きの声を上げていました。尊敬の眼差しで見てくれたのがうれしかったと同時に、もっともっといいものを作らなくちゃいけない、と背筋がぴんと伸びるような感覚にもなりました」

→「後編記事」につづく

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取材・執筆:田中 瑠子

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