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人事評価とは?目的・種類・運用のポイントをわかりやすく解説

人事評価とは、企業が従業員の業績や能力を公正に評価し、給与・昇進などの処遇や人材育成に活かす制度です。評価制度を正しく運用することで、従業員のモチベーション向上や組織全体のパフォーマンス改善にもつながります。

本記事では人事評価の目的、種類、制度導入や運用のポイントを詳しく解説しています。

人事評価とは何か

人事評価とは、企業が従業員の業績や能力、勤務態度などを総合的に評価し、その結果を給与・昇進などの処遇や人材育成に反映させる制度です。
評価期間は会社によって様々ですが、多くの場合は賞与支給時期にあわせて半年ごとに設定されます。

人事評価は、単なる査定ではなく、従業員の成長を促し、組織全体のパフォーマンスを高めるための重要な仕組みです。評価制度が適切に運用されれば、従業員のモチベーションを向上させ、企業の持続的な発展にもつながります。

また、人事評価は企業の理念や経営戦略にも密接に関係しており、評価基準を明確にすることで組織全体の方向性が統一されるでしょう。

経営戦略について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3297/

人事評価の目的

人事評価は単なる査定ではなく、企業と従業員双方の成長を促せる制度です。ここでは人事評価の目的について詳しくみていきましょう。

従業員の能力や業績を把握する

人事評価の目的のひとつは、従業員がどのような力を持ち、どのような成果を上げているのかを正確に把握することです。

人材は経営資源の中でも最も重要な要素だといわれています。従業員一人一人の能力や業績を把握することで、強みを活かす配置や適切な育成が可能になり、組織としての生産性も高まります。

経営資源について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3708/

人材育成の促進

人事評価は、従業員がどのような成果を目指し、どんな力を伸ばすべきかを明確にする役割も担っています。

評価基準が示されることで、従業員は自分に求められる姿を理解し、主体的に成長を目指すことができます。さらに、評価結果を一方的に伝えるのではなく、具体的な改善点や今後の期待をフィードバックすることで、成長につながる行動を促すことができます。

従業員のモチベーション向上

透明性の高い評価制度は、従業員の仕事上の目標を明確にします。成果を上げれば正当に評価される仕組みは、働く意欲を自然と引き出すでしょう。

また、評価を通して自分の成長や貢献度が可視化されることで、従業員は自己肯定感を得やすくなります。逆に、不公平感が強い評価制度はモチベーションを下げ、離職率を高める要因になります。

適切な人員配置と処遇の決定

評価結果は、昇進・昇給などの処遇だけでなく、人員配置の判断材料としても活用されます。

例えば、ある従業員が特定分野で高い成果を出していれば、その能力を最大限発揮できるポジションに配置できます。一方、課題が見られる場合にはサポート体制や研修を検討する必要があります。

このように、人事評価は適材適所を実現し、企業全体のパフォーマンス向上にも役立つのです。

企業理念・経営戦略の浸透

人事評価には、企業理念や経営戦略を現場に浸透させる役割もあります。

評価基準に企業が重視する価値観や行動指針を組み込むことで、従業員は自然と会社の方向性を意識した行動を取るようになります。例えば、顧客第一主義を掲げる企業では、顧客満足につながる行動が評価されるべきです。

こうした仕組みは、理念を単なる指針ではなく実際の行動規範として根付かせることにつながり、組織文化の強化に寄与します。

経営理念について詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3911/

人事評価の種類

ここでは代表的な評価方法を詳しく解説します。

能力評価

能力評価は、従業員が業務を遂行するために必要なスキルや知識、経験のレベルを評価する手法です。

例えば、問題解決力やリーダーシップ、コミュニケーション能力、トラブル対応能力、リスク管理、専門知識の習熟度などです。

定性的な側面が中心となるため、従業員の納得感に繋がるようある程度評価基準を言語化しておくことが大切です。また等級や役職に応じて評価基準の難易度も変わるでしょう。

業績評価

業績評価は、設定された目標に対する達成度や成果を数値化して評価する手法です。

例えば、営業成績や契約件数、生産高、経費削減率、採用数などといった具体的な数値が基準となります。客観性が高く報酬制度との連動も行いやすいのが特徴です。

成果が目に見える形で評価されることで従業員のやる気を引き出せますが、短期的な結果のみを追い求めてしまうリスクもあるため、長期的な視点も併せて評価するバランスが必要です。

情意評価

情意評価は、従業員の勤務態度、仕事への意欲、協調性、責任感など、行動面や姿勢を評価する方法です。

数値で測りにくい側面ですが、職場の雰囲気やチームワークに大きな影響を与える重要な要素です。例えば、積極的に周囲をサポートする姿勢や課題に真剣に取り組む態度は、組織全体の士気を高めます。この評価を適切に行うことで、単なる結果だけでなく日々の努力や姿勢も認める文化を醸成し、従業員エンゲージメントの向上も期待できるでしょう。

その他

その他の評価手法として、360度評価や自己評価などがあります。

360度評価は上司・同僚・部下など多方面からのフィードバックを得られるため、偏りの少ない評価が可能です。自己評価では従業員が自身の成果を振り返ることで、主体的に改善点を見出す機会になります。

これらを組み合わせることで多角的な評価ができ、公平性や納得感に繋がるでしょう。

人事評価制度の導入と運用

人事評価制度は、設計して終わりではなく、適切に導入・運用し続けることで効果を発揮します。ここでは人事評価制度の導入と運用の手順について解説します。

導入の目的を明確にする

人事評価制度を導入する際には、まず「なぜ評価を行うのか」という目的を明確にすることが重要です。

例えば、人材育成を促したいのか、公平な処遇を実現したいのか、それとも組織全体の生産性向上を目指すのかなど、目的によって設計すべき評価項目や運用の方向性が大きく変わります。制度の形だけを整えても目的が曖昧では機能しません。

評価基準を定める

次に何を基準に評価するのかを明確にする必要があります。基準が曖昧なままでは評価者ごとの判断がばらつき、不公平感が生まれます。

企業の理念や戦略に沿った評価項目を設定し、数値化できる目標と定性的な行動指標をバランス良く組み合わせることが大切です。

評価方法の周知

制度を設計しても、それが従業員に十分理解されていなければ機能しません。評価方法や目的は丁寧に説明し、従業員の納得を得た上で制度を運用する必要があります。

例えば、評価基準や手順をマニュアル化したり説明会を実施したりすることで透明性が高まり、不信感の防止にもつながります。

評価を行う

実際の評価では、評価者が客観的で一貫した視点を持つことが求められます。

評価基準に準じた評価を守ることで、部下からの信頼にも繋がるでしょう。また、定期的な面談を通して進捗確認を行うと、評価が単なる判定ではなく、部下の育成にも役立ちます。

評価結果のフィードバック

評価の結果は、必ず従業員にフィードバックしましょう。

単に結果を伝えるだけでなく、どうしてその評価になったのか、何が良かったか、何を改善すべきかを具体的に説明することが大切です。フィードバック面談では対話を重視し、従業員が納得し次の行動に移せるよう導くことがポイントです。

部下へのフィードバックについては下記の記事もご参考ください。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-1754/


また共感のコミュニケーションについては「ペーシング」などのスキルも参考になります。
http://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3204/

制度を定期的に見直す

人事評価制度は一度作って終わりではなく、定期的な見直しが欠かせません。市場環境や働き方の変化に合わせて制度を改善し続けることで、効果的な運用が可能になります。従業員からのフィードバックを制度改善に取り入れるのも良いでしょう。

人事評価制度運用時のポイント

ここでは、人事評価制度を運用する際のポイントについて解説します。

評価の透明性を担保する

評価の過程や基準が不透明だと、従業員の不満や不信感につながります。評価基準や手順は明確にし、従業員がいつでも閲覧できるような仕組みをつくるのが良いでしょう。事前の研修や、評価後のフィードバックも効果的です。

透明性を高めるためには、評価プロセスを可視化し、従業員が「なぜその評価なのか」を理解できる仕組みづくりが大切です。

工数の軽減

人事評価には多くの時間や手間がかかります。煩雑な運用は評価者・被評価者双方に負担を与え、制度の形骸化を招きかねません。

ITツールの導入や評価フローの簡略化で、効率的に運用できる仕組みを整えることが重要です。

リモートワークなどへの対応

近年の働き方改革やリモートワークの普及により、従来の評価方法では対応しきれないケースが増えています。

オンライン環境でも適切に評価できる仕組みを整え、業務の見える化を進める必要があります。例えば、成果物や進捗を日々報告・共有するプラットフォームを導入すると、公平な評価が行いやすくなります。

部署や評価者で差が出ない仕組みづくり

部署や評価者ごとに基準が異なると、従業員の納得感は大きく損なわれます。評価基準を統一し、定性的な評価も含めて、評価基準は明確に言語化しましょう。

複数の評価者によるクロスチェックを導入することも方法の一つです。

評価者の育成

評価制度を正しく運用するためには、評価者自身が高いスキルと公平な視点を持つ必要があります。

例えば事前に研修を行い、人事評価の意図を正しく伝えることも大切です。また日頃から、客観性やコミュニケーション能力を養い、公平で質の高い評価ができる人材を育てることが重要です。

人事評価を活かして従業員と組織を成長させよう

人事評価は、単なる処遇決定のための手段ではなく、従業員の成長を促し、組織全体のパフォーマンスを高める重要な仕組みです。公正で透明性のある評価制度を構築し、結果を丁寧にフィードバックすることで、従業員は自身の成長課題を明確にし、さらなる挑戦意欲を持てるようになるでしょう。

また、評価制度が企業理念や経営戦略と連動していれば、従業員の行動は自然と会社の方向性と一致し、組織としての一体感も強まります。

時代や働き方の変化に応じて制度を柔軟に見直しながら、企業の持続的な発展につなげていきましょう。

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