「主任」と管理職の違いは?役割や求められる能力をわかりやすく解説
企業における「主任」という役職は、一般職と管理職の中間に位置づけられることが多く、その立場や役割は企業によってさまざまです。
この記事では、主任と管理職の違いをはじめ、主任の具体的な役割やキャリアパスについてわかりやすく解説します。
目次
主任は管理職ではないのか
主任は一般職よりも上の立場であるものの、通常は管理職には該当しません。
一般的に「管理職」とは、課長以上の役職を指し、組織の経営方針や目標達成に責任を負うポジションです。一方で主任は、組織やチームメンバーに対して指揮命令を行う立場ではなく、現場を支えるリーダー的な役割を担うことが多いです。

管理職の定義と特徴
管理職とは、組織全体や部門単位での意思決定・業績責任を担う役職であり、経営層と現場をつなぐ存在です。
一般的に「課長」以上の役職が該当し、業務のマネジメントに加えて人事評価や予算に対する権限を持ちます。部下のマネジメントが主業務であり、個人の業務よりも「チームとしての成果」や「人材育成」に責任を負う点が特徴です。
中間管理職については、こちらの記事もご覧ください。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-2370/
課長や係長との違い
主任とたびたび混同される役職には「係長」や「課長」が挙げられます。
一般的に、係長は係やチーム全体のまとめ役を任される役職です。課長はさらに裁量が大きく、人材育成や予算管理など経営にも関わります。
主任は、指揮命令権や経営判断の権限が限られており、部署全体ではなく現場やプロジェクト単位でのリーダーを担うことが多いのが、係長や課長との違いといえるでしょう。
また、労働基準法上の「管理監督者」とされるのは課長以上が一般的です。
係長についてはこちらで詳しく解説しています。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3196/
企業によって異なる主任の位置づけ
一部の企業では、主任を「名目上の管理職」として扱い、役職手当などを付けることがあります。ただし、これは企業の制度上の違いに過ぎず、主任の業務内容自体がマネジメント中心であるとは限りません。
また企業文化や職能制度によって、主任と係長の序列が逆転していることもあります。
主任の仕事内容・役割と求められる能力
ここでは、主任の仕事内容・役割と求められる能力について解説します。
現場のまとめ役としてのリーダーポジション
主任は、現場やプロジェクトのリーダーポジションとして任命される場合が多く、プロジェクトがスムーズに進むよう全体を取りまとめる役割を担います。メンバーに指示を出すだけでなく、日々の声かけやフォローを通じて、チーム全体の士気や連携を高めることも重要であるため、一定のリーダーシップが求められます。
また、進捗を上司に報告し、メンバーと上司をつなぐ橋渡し役としての役割も期待されています。
プレイヤーとしての役割
主任はメンバーのまとめ役は行いますが、マネジメントに責任を持つのは通常課長以上の上司です。マネジメントに専念しない代わりに、主任には自ら率先して業務をこなすプレイヤーとしての責任があります。
プレイヤーとしての業務成果を出すことが求められるので、営業職なら営業力、専門職であれば専門技術といった能力も必要になります。
進捗管理や報告業務の担い手
チームやプロジェクトの進捗状況を把握し、問題があれば適切に上司へ報告・相談を行い調整するのも主任の大切な役目です。
そのため、リスク管理などの管理能力も必要であると言えます。
プロジェクト管理について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3346/
新人・後輩の育成や指導
また、プロジェクトや現場において、新人や後輩の指導も主任の主要な業務のひとつです。現場でのOJTを通じて、実務知識やスキルを伝えるとともに、相談しやすい存在となることが求められます。
部下の指導については、こちらの記事もご覧ください。
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-2883/
主任になるメリット
ここでは、主任になるメリットについて解説します。
給料が上がる可能性がある
主任になると役職手当が支給される会社もあり、基本給に加えて収入が増えるケースがあります。責任も増しますが、それに見合った待遇を得るチャンスとなります。
新しい仕事に挑戦できる
業務の割り振りやチーム管理など、新たな仕事に挑戦できる機会が得られます。管理職ほどでなくとも、ある程度の裁量が委ねられることで、自分で考えて仕事ができるようになるケースも増えるでしょう。
また、仕事内容が多岐にわたるため視野が広がり、現場だけでなく全体を俯瞰する視点も養うことができます。
管理職への昇進が目指せる
主任は管理職への登竜門です。主任としてしっかりと結果を出し、実績を積み重ねていくことで、上位の役職へのキャリアアップが可能になるでしょう。
主任から管理職へのキャリアパスは?
主任は管理職へのステップとして位置づけられることもあります。ここでは、管理職を目指すうえで押さえておきたいポイントを紹介します。
管理職を目指すために意識すべきこと
主任から管理職を目指すためには、業務遂行だけでなく、チームをどう動かすか、どう成果を最大化するかといった視点を持つことが重要です。
自身のプレイヤーとしての力だけでプロジェクトを成功させるのではなく、チームとしての成功を意識することで、結果だけでなくプロセスの評価も期待できます。
また、自身の行動が周囲に与える影響を意識し、信頼されるリーダー像を築いていくよう意識をしましょう。
身につけたいスキル
マネージャーとプレイヤーに求められるスキルは異なります。
管理職を目指すためには、マネジメントスキル、ファシリテーション力、問題解決能力、言語化能力など、管理職に必要な基礎的スキルを段階的に習得していくことが望まれます。
主任の給与|残業代はつく?
主任の年収は会社によって異なりますが、一般社員よりも高く、係長と同等もしくはそれ以下と考えると妥当でしょう。
係長と非役職者の平均年収のデータはこちらです。
役職 | 賃金(千円) | 年齢(歳) |
---|---|---|
非役職者 | 291.1 | 41.2 |
係長級 | 370.8 | 45.4 |
(出典元:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より)
また、一般的に主任は管理職とは見なされないため、労働基準法上は残業代が発生する対象となります。企業によっては管理職に準じる扱いを受ける場合もあり、その際は残業代がつかないケースもありますが、労働基準法上の「管理監督者」は明確に定義されており、多くの場合主任は当てはまりません。自身が「名ばかり管理職」とならないよう、注意しましょう。
「名ばかり管理職」の問題点はこちら
https://bemyself.pasonacareer.jp/skill/skill-3466/
まとめ|主任は管理職ではないが、重要なリーダー職
主任は管理職には該当しませんが、現場を支える重要なリーダーです。
管理職へのステップアップの入り口でもあり、このポジションでの経験や働きぶりが、今後の昇進にも大きく関わってきます。プレイヤーから一歩踏み込んだ視点を持ち、新しい仕事に挑戦していきましょう。