産休・育休・時短勤務……
多様な働き方でのチームマネジメント、どうしている?
リーダーが抱える悩みは、なかなか社内では相談できないもの。他のみんなはどう解決しているのか探るべく、女性管理職のオンライン匿名座談会を実施! 今回のテーマは、「時短勤務のメンバーがいるチームのマネジメント」について。産休・育休や、時短勤務のメンバーがいる場合の配慮はどうしている?
目次
【参加者】
Aさん(43歳):金融系企業勤務
7名の部下を抱えるマネージャー。4歳と7歳の子どもの育児中で、時短勤務をしながら管理職として働く。
Bさん(44歳):マスコミ系企業勤務
10名の部下を抱える部長職。雑誌の編集責任者。長くクリエイティブ職で働く。
Cさん(48歳):生命保険企業勤務
6名の部下を抱える地方支部のマネージャー。営業職として現場も担当している。
管理職から産休・育休・時短勤務を積極的に推奨すべき
- ――みなさんのチームには産休・育休や時短勤務の部下はいますか?
- Cさん:はい、産休育休明けで、現在時短勤務のメンバーが一人いますね。
Bさん:私の部下にも一人、時短勤務のメンバーがいます。
Aさん:部下にはいないのですが、私自身まだ未就学児の子どもがいるので時短勤務をしています。
Bさん:管理職自ら時短勤務をされているのは、メンバーにとても良い影響を与えていると思います! 私は管理職になる前に母の病気を経験したのですが、クリエイティブ系の部署だったこともあり、深夜帰宅が当たり前。母の病院には早朝に通っていました。当時は時短勤務を取れるような雰囲気ではなく、心も身体もボロボロに。そんな時、時短勤務の選択肢を管理職から示してもらえたらどれほど救われたかと思います。
Cさん:管理職が積極的に会社の制度を使うことで、メンバーが使いやすくなることはありますよね。私の会社は女性が多いこともあり、産休・育休・時短勤務が取れることを採用活動時の売りにしているほどなんです。だから管理職も当たり前に取得しています。制度が整っていることは前提として、実際に安心して使える雰囲気にすることも、管理職の役割かなと最近思います。
時短勤務メンバーがいることで、チームの残業が大幅減!
- ――時短勤務のメンバーがいると、マネジメント面で苦労はないのでしょうか?
- Bさん:たしかに時短勤務メンバーの業務量を物理的に減らしたり、単独で進められるような仕事を振ったりといった調整は必要ですが、その人が出来ることを割り振るという点は、どのメンバーに対しても同じこと。時間の制限だけでなく、個人のスキルであったり、年次であったり、それぞれの事情はあるものなので。
Cさん:そうですよね。指導や評価の面でも、同じことが言えますよね。特に私は営業職なので、チームで一つのプロジェクトをこなすわけではありません。個人の成績を重視するので、メンバー同士を比べるのではなく、その人が前よりどれだけ伸びたかを評価しています。
Aさん:なるほど。私の場合は17時には業務を終えなければいけないので、ミーティングは全て午前中に、チャットやメールも16時までにしてもらっています。チームで動かなければいけない仕事は17時まで、それ以降は個人でできる仕事のみ、というように。
Cさん:それってメンバーにとっても働きやすい環境ですよね。残業を前提にしない業務設計はどんなチームでも必要だと思います。
Aさん:たしかに、私のチームの残業時間って他のチームに比べて極端に少ないんです(笑)。
管理職自ら時短勤務をすることで、メンバーのワークライフバランスも保たれる。
- Bさん:結局のところ、時短勤務であろうがなかろうがみんな早く帰りたいのは共通(笑)。そういう意味で、私は管理職として何事も即決し、迷ったりブレたりしないように心がけています。かつて、上司に振り回されて余計な仕事が増えることがとても嫌だったので!
Aさん:わかります! なるべく指示も明確に伝えて、上司と部下の間での余計なコミュニケーションのズレは防ぐようにしています。
チームワークを向上させるためには、在宅勤務と出社のバランスが大切
- Cさん:コロナ禍以降、在宅勤務が認められるようになったのも、時短勤務のメンバーがいるチームとしてはありがたいですよね。無理せず働いてもらえるので。
Aさん:それは実感していて、私もいまは出社を週1回に減らしています。長女が通う学童は18時までにお迎えにいかなければならないので、もしも通勤していたら5分の残業もできないほどです。通勤時間がなくなった分、業務に回せますし、助かっています。
Bさん:個人で進められる仕事は在宅の方が効率良いですよね。私は逆に週1日を在宅勤務にしています。
Aさん:ただ、対面では発生しなかったであろうミスコミュニケーションもあって、チームの一体感が減退しているのも悩みなんですよ……。
Cさん:すべて在宅で……というわけではなく、お互いをよく知る意味でも、なんだかんだ対面のコミュニケーションも必要ですよね。
Bさん:私はチームの全員が必ず出社する日を週1回は確保しています。これは時短勤務の方も同様です。やはり顔を見てたわいのない雑談をする時間もチームの一体感を保つためには必要です。あと1on1も対面で行っていて、密なコミュニケーションは対面でとるようにしています。
Aさん:週1回の出社を合わせるのなら、誰にとっても負担がないですもんね。私の部署でもそうしてみようかな。
時短勤務メンバーが活躍できる組織は、誰もが働きやすい組織
- Bさん:結局、時短勤務のメンバーが働きやすい組織づくりは、みんなが働きやすい組織づくりなんですよね。
Cさん:そうですよね。それに誰だって病気になるし、家族の介護が必要になることもある。またはいきなりメンバーが辞めてしまうこともありますよね。産休・育休が取りやすかったり時短勤務のメンバーが活躍できたりする組織は、そういった時にでも業務が円滑に回る。
Aさん:強いチームですよね。時短勤務しながらのマネジメントはとても大変ですが、それが出来ることを示せたら、部下もライフイベントでキャリアを中断せず、前向きに働いてくれるんじゃないかなんて思っています。
産休や育休、時短勤務制度を取得することは、ひと昔前に比べ当たり前となってきました。また、在宅勤務などの働き方の選択肢も広がっています。働き方が多様化する時代、誰にとっても働きやすい環境を整えることが、今の時代の管理職に求められるスキルかもしれませんね。