小島慶子さん「仕事で離れていても、子どもと心は繋がれる」
キャリアや仕事、人間関係、健康、家族、恋愛…。悩み多き現代女性たちに寄り添う人気企画「お悩み相談室」。今回の回答者は、エッセイスト、メディアパーソナリティとして活躍する小島慶子さん。共働きに関する悩みに、小島さんの経験を交えた解決策を提案していただきました。
前編はこちら
小島慶子さん「必要な時に適切な人に頼れるリーダーは、メンバーから信頼される」
小島慶子さん「親が人生を楽しむ姿を見せることは、子どもにも良い教育になる」
目次

小島慶子さん
エッセイスト/メディアパーソナリティ/昭和女子大学現代ビジネス研究所特別研究員
1995年~TBSアナウンサーとしてテレビ、ラジオに出演。2010年独立。2014~23年にはオーストラリアとの二拠点家族生活を実施。息子たちの海外大学進学を機に、2024年からは日本に定住。
共働き。イレギュラーが発生するとイライラが止まらない
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小島さんの回答「相手が夫でも話し合うときは仕事モードで」
何かしら課題のない夫婦はないと思います。日本でも共働きしやすい制度が整ってきていますが、制度と同時に風土を変えることが肝心。例えば男性の育児休暇。制度は整いましたが、「男のくせに育休をとるなんて」という偏見やパタハラもあり、適切に運用されてきませんでした。最近では国が企業に男性育休取得推進を義務化したことで、徐々に風土も変わってきました。
それでも、まだまだ女性に育児・家事の負担が偏っています。
大切なのは、不満を溜め込まずに夫婦で話し合いをすること。相談者の方が考えている「自分の将来の生活の安定のためにも、夫のサラリーマン生活を応援したい」という“本音”も言う。男女の賃金格差や昇進格差が大きい日本では、そうせざるを得ない。でも割り切れない思いもあるのだと、そこまで夫にちゃんと話した方が良いですよ。
言いたいことを溜め込むと圧が高くなり、弾けた時の衝撃が大きくなります。こまめに正直な本心を伝え、微調整をした方が良いと思います。私はそうやって正直な本心を伝えることで夫婦の協働体制を築いてきました。つい昨日も夫の態度に思うところがあり、気持ちを伝えたところです。
いちいち話すのは億劫に感じるかもしれませんね。「それぐらい察してほしい」と。わかります、わかります!でもそんな時は、夫を職場の人だと思ってください。話の通じない後輩、気の利かない同僚、説明しても誤解する上司…「なんで言わなきゃわからないの!?」と責めても、事態は改善しないですよね。
夫婦共子育ては、システムとルール作りで回すもの。こまめな心情開示と具体策の話し合いを習慣化して、乗り切りましょう。
仕事を優先すると、子どもに対して罪悪感を感じてしまう
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小島さんの回答「離れている時には寂しさを分かちあおう」
私も30〜40代は、相談者さんと同じような気持ちになりました。子どもたちが大学生になってから、小さい時に寂しい思いをさせて取り返しのつかないことをしたのではないか…と思い、本人たちに謝ったことも。でも、意外と息子たちは気にしていなかった。「そりゃ早くお迎えに来てくれた時は嬉しかったけど、遅い時もそんなもんだと思っていた」と。「あまり覚えていない」とも言われて(笑)。でも親としてはやっぱり、気になりますよね。
罪悪感や不安を感じたら、子どもは時計を持っていないことを思い出してください。子どもは「今日はママと何時間何分何秒一緒にいられた」「昨日より何分何秒少なかった」なんていちいち計っていません。
時間よりも大切なのは、離れている時でもお互いに寂しさや会いたい気持ちを分かち合っているという感覚。自分が会いたいと思っている時に親も会いたいと思っているということがわかれば、子どもは親と心が繋がっていると思えます。
例えば朝、園に預ける時に「ママもあなたに会えなくて寂しいよ。今日もお互い頑張ろうね」と言い、夜に再会したときには思い切り喜びを表現する。私も保育園のお迎えの時には、20年ぶりの再会のように息子たちを抱き締めていました。それで良いんですよ。子どもは「ママはこんなに自分に会いたがってくれていたんだ」とわかる。離れていても繋がっているという感覚を持てます。
共働きだとどうしてもずっと子どもと一緒にいることは難しいですが、そうやって寂しい気持ちをシェアすることは、人として大切な経験です。子どもの成長にとって、悪いことではありませんよ。どうぞ安心してください。
【回答まとめ】
・感情を溜め込んでも消えることはない。こまめに正直な話し合いを
・子どもは、親と過ごす時間を時計で計っているわけではない
・子どもと離れている時は、寂しい気持ちをシェアすることで繋がろう
(取材・執筆:菱山恵巳子)