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仕事に効く話

【陶芸家SHOWKOさん】「こうあるべき」から自由になる。管理職女性の“感性”の磨き方

忙しく成果を追いかける日々の中、「これは本当に自分の望む働き方なのだろうか」と、ふと立ち止まりたくなることはありませんか? 様々な責任を背負いながらも、いかに「自分らしさ」を失わずに働くかは、働く女性にとって大きな課題です。

 

陶芸家のSHOWKOさん著の『感性のある人が習慣にしていること 』(クロスメディア・パブリッシング)では、自分らしく働くためのヒントにもなる感性の磨き方を紹介しています。SHOWKOさんに、管理職女性にも「感性」が大切な理由、そしてその磨き方についてお聞きしました。

 

 

前後編、前編です。

SHOWKOさんのイメージ画像

SHOWKOさん

陶芸家。アーティスト。2002年より佐賀県武雄の草場一寿氏の元で修行、2005年に京都で自身の工房「Spring Show Studio」をスタート。2009年にブランド「SIONE(シオネ)」を立ち上げ、全国で多数の企画展を開催し、2011年より海外で展開。2016年には銀閣寺近くの旅館をリノベーションし、工房兼 ショップをスタート。著書に『私らしい言葉で話す 自分の軸に自信を持つために』(CCCメディアハウス)『心に気持ちのよい風を通す』(大和書房)『感性のある人が習慣にしていること 』(クロスメディア・パブリッシング)。2025年10月には『クラフトフルネス』(クロスメディア・パブリッシング)をテーマにした新刊を発売。

感性とは、自分自身のものさし

ーまずは「感性がある人」とはどういう人を指すのか教えてください。
SHOWKO:感性がある人というと、「センスがいい人」「着ている服がかっこいい人」「インテリアが素敵な人」というイメージがあるかもしれません。しかしそうではなく、自分の好き嫌いや感覚といった、自分自身のものさしで物事を選べる人のことだと定義しています。

どんな服を着ていても心がまっすぐ通っているような人、この人の前では嘘をつけないと感じる人っていますよね? 見かけだけではなく、自分の信念をしっかり持っている人が 、感性のある人です。
ー特に現代の働く女性は社会にも振り回されてしまいがち。そんな時に大切なのが自分の感性ということでしょうか。
SHOWKO:そうですね。今の世の中は、無闇に追い立てられ、焦ってしまいますよね。特に30代頃って男女問わず数字で図られる人生の真っ只中。「もっと上を目指さなきゃ」とか、女性なら「いつ出産するか」「キャリアをストップしなきゃいけないのか」など、常にプレッシャーにさらされています。

私も30代の頃は何に焦っているのかわからないほど「もっとやらなきゃ」という思いがありました。40代になってから、やっと自分の役目をマイペースな状態で毎日果たすことができるようになってきた気がします。だから30代の方には、そんなに焦らなくていいし、戦わなくて良いと伝えたいですね。
ー自分の軸である感性は決断力にも繋がるのでしょうか?
SHOWKO:はい。感性が高まると、自分で決める力が持てます。自分で決めたことは人のせいにもできませんし、決めたことを良いものにしていく、正しいものにしていくというポジティブな力も湧いてきます。

しかし決断力はすぐに身につくわけではありません。大きなことを一瞬で決断するのはとても難しいことなので、まずは小さなことから。例えば「今日何を飲みたいか」「何を食べたら体が健やかか」といった、人の目線や見栄ではなく自分の感覚で物事を選ぶことから始めると良いと思います。

そうやって小さな日々の決断を続けていく。すると洋服を買うときなども自分の感覚で選べるようになり、最終的には転職や結婚といった大きな決断も自分の感覚でできるようになると思います。

ー感性を身につけると、働き方やキャリアにも変化が起きそうですね。
SHOWKO:そうですね。1日の大半を過ごす仕事の時間の中で、自分が自分の命をどう全うするのか。ぜひ感性を働かせて考える時間をもってほしいと思います。

目的を作らない・生活を整える・やらないことを決める

ー感性を高める習慣の中で、特に働く女性が取り入れやすいものがあれば教えてください。
SHOWKO:まずは「目的地を作らずに歩いてみる」のはどうでしょうか。働いていると常に何かの目標に邁進していると思うので、一度それを手放してみる。ToDoリストをこなすのではなく、「気になる脇道に入ってみる」というゆるい気持ちで散歩してみると良いですよ。

また「生活を整えて気持ちいい状態にする」ことも大事ですね。少しずつ綺麗が積み上がっていくと、心身が健やかになります。ものを減らして整えてみたり、光るところを綺麗にしたり。水道の蛇口や鏡、パソコンの画面など、いつも目につくところを磨くだけでも気持ちが良いと思います。とはいえ、掃除がToDoになってしんどくなっている状態なら外して散歩に行ってほしいですが(笑)。

あとは「やらないことを決めて書き出す」ことも。ToDoリストばかり作りがちですが、やらないことを決めるのも大切ですよ。わがままな気持ちになるかもしれませんが、「私、本当はこんなのやりたくない」と思うものをリストアップしてください。例えば私は「子どもにイライラする環境は自分の人生にいらない」と書いていたし、「『完璧にやらなきゃ』と思う自分をやめる」 でも良い。そうすれば「どうすればこれを手放せるか」ということに頭が働きます。

たくさんの人に頼りながら、世の中に抗っても良い

ー管理職など責任のある立場の女性が、自分らしさを見失わずに働くためのヒントはありますか?
SHOWKO:自分をずっと肯定し続けるのは難しいときもあると思いますが、そういうときのために同世代の人たちがいるのだと思います。大変な時は色々な人に頼って良いと思います。パートナーに100%頼るのもありですが、5%ずつくらい何十人かに頼るような感覚で。

真面目で真摯に生きている人こそ、「こうあるべき」という思いが強くなりすぎて、自分で自分を縛ってしまいがちです。そういった方は、もっと色々なものに抗ってパンクに生きてみても良いと思います。ガス抜きをたくさんして、自分を大切に扱ってあげてください。自分にまず水を与え、甘やかしてほしいです。

そして、抗った時に最後に戻ってこれる自分の場所が心の中にあることが大切。どこまで行っても自分が自分の味方で大親友でいてあげてください。
ー世の中に抗いながらも成果を出すこと。そのバランスを保つコツはありますか?
SHOWKO:「抗う自分」「成果を出す自分」という二つの軸に分けない方が良いのかもしれません。10個くらいある軸のバランスを取るようにしてみると、0か100かではないと気づけるはず。

例えば「余暇」と「仕事」というように二つに分けてしまうと、そのバランスが取れていない自分は駄目だという考えにも陥ってしまいます。もう少し俯瞰して広い視野で、甘やかすパートと甘えるパート、趣味と仕事と家庭など、たくさんの軸を持ってそれぞれの視点で考えると楽になるかもしれません。 ‎

「こうあるべき」に縛られるのは、頑張っている証拠

ー世の中の「こうあるべき」に縛られそうになる時、どのように自分を取り戻せば良いのでしょうか? ‎
SHOWKO:「女性はこうあるべき」「母親はこうあるべき」など、社会からの強いメッセージってありますよね。でも大抵の悩みは取るに足らないものだという考えを底に持って大丈夫。

実は「こうあるべき」と考えてしまうのは、自分が精一杯頑張っている時です。頑張っている時こそ、さらに自分を追い詰めてしまうループに入ってしまうのです。だから縛られそうになったら「今の私はすごく頑張ってるんだな」と労わってあげてください。

あとは元気な時に、そういう自分がラクになるワードを手帳に書き溜めておいて、辛いときに見返すのも良いと思います。

例えば「人生コスプレ」というワードは、私が大事にしていること。私はコスプレのように何にでもなれる、という意味ですね。今は母親の役割をしていても、小説を読んで三角座りしている自分もいるし、管理職としてバリバリ働き部下に厳しい指導をする自分もいる。色々な自分をエンジョイするという感覚でいると楽になれますよ。 ‎

★後編では、SHOWKOさん自身のキャリアの選択について伺います。


(取材・執筆/菱山恵巳子)

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