堀井美香さん「チームを改善しようと意気込まなくても、管理職の役割は他にもある」
キャリアや仕事、人間関係、健康、家族、恋愛…。悩み多き現代女性たちに寄り添う人気企画「お悩み相談室」。今回は、アナウンサーの堀井美香さんが読者のお悩みに答えます。職場での人間関係や会社への不信感など、仕事に関するモヤモヤに堀井さんが具体的に解決策を示してくれました。
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堀井美香さん
フリーランスアナウンサー。1972年生まれ、秋田県出身。1995年、TBSにアナウンサーとして入社。2022年3月に退社。現在は数々の人気番組のナレーションを担当し、ジェーン・スーさんとのPodcast番組『OVER THE SUN』のラジオパーソナリティとしても活躍。自身が開催する朗読会もチケットが即完売するほど人気。
★堀井美香さんのインタビュー記事はこちら
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同世代の女性のみのチームに配属。板挟み状態でどう振る舞う?
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堀井さんの回答「分断するのではなく、緩衝材に。4人で集まる機会をつくろう」
チームの中で中間管理職的な立場を求められていますね。一般的には、部下の意見をまず聞いて、上の人にあげるというのが正しい立ち振る舞いだと思います。そうすることで信頼関係を築くというのがチームマネジメント。…ただ、そうもうまくいかないんですよね。
そもそも管理職の仕事って、チームを改善することだけではなくて、下の意見を「受け止める」「話を聞く」という緩衝材になることも一つの役割だと思います。だから「このチームを良くしなきゃ!」というストレスは別に感じなくても良いのかも。
特に女性だけの組織ならば、「あの人がこう言っていた」という誰かを介した話題は鵜呑みにしてはNG。本人に確かめた方が良いですよ。あとは絶対に人の悪口を言わない、というのも鉄則ですね。噂を鵜呑みにしたり悪口を言ったりすることであらぬ誤解を生んでしまうことはよくあるんです。
ただこの方の組織の場合、4 人で普通にご飯を食べに行ったらどうでしょう?4人って一番コミュニケーションがとりやすい人数じゃないですか。上と下を分断して板挟みになるくらいなら、一気にみんなを集めてコミュニケーションをとる回数を増やしても良いかも。この方はその仕切り役になってみるのもアリですね。 会って話すだけで不満が飛ぶこともありますからね。
30代が4人集まっているなら、毎月ランチ会をしても良いし、飲み会をしても良いし、お誕生日を祝っても良い。職場ではない環境で改めて話すと、関係性も良くなると思いますよ。
縁故入社社員ばかりが優遇される社風にうんざり
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堀井さんの回答「個人的なモヤモヤならば自分の世界に入れない。会社を改革したいならチームを組んで」
個人的に縁故入社社員が気になってしまうモヤモヤなのか、会社の将来を危惧してのモヤモヤなのかによって対応が変わってきますよね。
もし、前者の場合だとしたら正直、縁故入社はしょうがないことだから自分の世界の中に入れて考えない方が良いの一言に尽きますよね。縁故入社以外にも、優遇される人・されない人というのは会社の中でどうしても出てきてしまうものです。自分は自分、この人はこの人というスタンスで受け止めた方が良いのかなと思います。
私もこれまで縁故入社社員の方に出会ってきましたが、その方たちには縁故入社ゆえのつらさもあるみたいです。どんなに成功をしても「縁故だから」と言われてしまうとかね。入社した時点で周りからレッテルを貼られること自体も、大きな負担になっているように思います。
「隣の芝は青く見える」現象と同じで、一面だけをみたら羨ましいかもしれませんが、あくまで対岸の火事といった距離感でいてください。「そういう人もいるんだな〜」くらいに思って自分は自分の仕事に没頭した方が良いですよね。人と比べたり人からの評価を気にしたりするよりも、自分が与えられた仕事を自分の中で満足できるように成果を出せば、より仕事はうまくいくし、ハッピーだと思いますよ。
一方で後者の会社の将来を危惧しているのならば、会社を辞める覚悟で改革を起こす。会社を変えるために立ち上がると、もしかしたら左遷されたり自分にマイナスの評価がついたりするかもしれません。その覚悟は持っておいた方が良いです。
その上で、労働組合を作るのも良し、もしすでに労働組合があるのならその活動を活発化させるのも良し、できることはあるはずです。特に組織の中で意見を通すには、ある程度チームになって正しい形式で提案する必要があります。会社の中で不満を抱えている方と一緒に束になって意見を正式な形にまとめて経営陣に提案してください。そういった行動を起こしてみてはいかがでしょうか?
【回答まとめ】
・チームを「改善」することだけが管理職の役割ではない。緩衝材になることも必要。
・会社への不満は、個人的なモヤモヤなのか会社の将来を危惧してなのか、まずは明確に。
・会社を改革したいのなら、チームを作り、正しい形式で意見を上層部にあげよう。
(取材・執筆:菱山恵巳子)