日本人初の国連難民高等弁務官・緒方貞子さんの名言
日本人女性として初めて、国連難民高等弁務官として活躍した緒方貞子さん。
世界の難民の救済と保護に全力を尽くし、日本の文化功労者や文化勲章だけでなく、イタリア金の鳩平和賞、フィラデルフィア自由賞、ドイツ連邦共和国功労勲章大功労十字章など、世界各国から感謝や栄典という形でその功績を称えられています。
そんな彼女が残した言葉の多くに、リーダーたる所以、成功者たるヒントが隠されています。
今回は、頑張るあなたの背中を力強く押してくれる名言をご紹介します。
困難な状況に陥った時に心を奮い立たせてくれる名言
- 『乗り越えるためにあるの。危機とか難局というのは』
≪緒方貞子≫
国際政治学者。1927年生まれ、東京都出身。幼少期は、外交官である父の赴任に伴い、アメリカ、中国、香港などで過ごす。聖心女子大学卒業後、アメリカ・ワシントンDCのジョージタウン大学大学院に留学し、国際関係論修士号を取得。帰国後は、東京大学の特別研究生として3年間、近代日本政治外交史を学び、再びアメリカ・カリフォルニア大学バークレー校に留学。政治学博士号を取得する。
74年に国際基督教大学準教授、80年に上智大学教授を歴任。また、76年に国連公使となり、91年には日本人女性として初めて国連難民高等弁務官に就任し、2000年まで務め上げた。その後は、2003年から2012年まで国際協力機構(JICA)の理事長を務め、2019年に92歳で逝去。
1992年から10年に渡り、日本人女性として初めて国連難民高等弁務官として活躍した緒方貞子さん。緒方さんが就任したのは、湾岸戦争、ボスニア紛争、ルワンダ内戦など、国際情勢が非常に不安定な時期でした。
そうした苦難の中でも、『乗り越えるためにあるの。危機とか難局というのは』との名言を残し、一つひとつの事柄に真摯に向き合い続けました。
緒方さんは、本部に居座って会議をするだけの姿勢を嫌い、徹底した「現場主義」のスタイルで、困難と向き合いました。
時に防弾チョッキを着て交戦状態の地に向かい、時にあらゆる国々の首相や大臣のトップと直接会って掛け合う。緒方さんは、確固たる信念と行動力をもって、90年代以降の難民支援の在り方を大きく変えていったのです。
困難な状況下であるほど、さまざまな観点からの意見を求めたり、慎重に事を進めようとしがちですが、ときには、「行動あるのみ」と思い切った決断が必要な場合もあります。
実行にあたって二の足を踏んでしまう時は、この名言を思い出し、緒方さん流の苦難の乗り越え方を実践してみてはいかがでしょうか。
自己成長していくための鍵となる名言
- 『外へ出て異質な環境に身を置きなさい』
- 緒方さんは後世を担う人材を育てるべく、上智大学外国語学部教授や国際関係研究所長、外国語学部長なども歴任し、学生たちに自身のメッセージを伝え続けました。
『外へ出て異質な環境に身を置きなさい』という名言は、緒方さんが学生たちに言い続けた言葉のひとつです。
緒方さんは、『国際機関で働きたいと思っている人だけでなく、日本のあらゆる若い世代に、「何でもみてやろう」「何でもしてやろう」という姿勢を意識的に持ってもらいたい』と語り、自分を鍛えるためにあえて新しい場所に飛び込むことの大切さを説いています。
緒方さん自身がそれを体現しており、難民保護における新たな支援の枠組み作り、紛争下にある人々への人道支援体制の構築、難民キャンプの治安維持など、自ら現場で見たこと、感じたことを形にしてきました。
そして、彼女の下で学んだ学生の多くが、そうした緒方さんの志を受け継ぎ、グローバルに活躍しています。
慣れない環境下に飛び込むのは、勇気と覚悟が必要です。一方で、異質な環境へ適応できた時こそ、自身の大きな成長を実感できるはずです。この名言を胸に、積極的に新たなチャレンジをしてみてください。
後輩の仕事へのモチベーション作りに悩んだ時に思い出したい名言
- 『人間は仕事を通して成長していかなければなりません。その鍵となるのは好奇心です』
- 緒方さんは、仕事に対する熱意と意欲を晩年まで持ち続け、73歳で国連難民高等弁務官を退任した後も、南アフリカ、ナイジェリア、アフガニスタンなどの情勢が不安定な国々を訪問。76歳で国際協力機構(JICA)の理事長に就任し、84歳まで務め上げるなど、精力的に活動しています。
そんな彼女のモチベーションの軸となっていたのが、『人間は仕事を通して成長していかなければなりません。その鍵となるのは好奇心です』という名言にもあるように、“好奇心”でした。
『常に問題を求め、積極的に疑問を出していく心と頭が必要』とも語っており、どんな仕事環境下にあっても、柔軟性を持って課題を探し続ける姿勢が大切であると説いています。
緒方さん自身は、「任せられる裁量の大きさが仕事の動機づけになる」と、現場の裁量を増やすことを意識して動いていたといいます。そうすることで、一緒に働く仲間たちのモチベーションも自ずと上がっていき、組織としての成長にもつながっていったのでしょう。
後輩たちのモチベーションの管理は、管理職にとって非常に大切な仕事のひとつです。一方で、明確な正解がない課題を前に、どのように取り組むべきか苦慮している方も多いでしょう。
悩んだ時はぜひこの名言を思い出し、“好奇心”を軸にアイデアを考えてみると、新たな発見があるかもしれません。
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