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マイキャリアストーリー

『任されていると思うから、人は自ら動いていく』
資生堂インタラクティブビューティー株式会社 企画管理部 野田裕子さん【後編】

誰しも迷うキャリアの決断。管理職として活躍する女性はいつ、何に悩み、どう決断してきたのか。キャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。
今回は前回に引き続き、資生堂インタラクティブビューティー株式会社の野田裕子さんにお話を伺いました。

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野田 裕子(のだ ゆうこ)さん

資生堂インタラクティブビューティー株式会社 企画管理部 企画・財務グループ グループマネージャー
2005年、資生堂に新卒入社。営業、商品企画、マーケティング、広報、商品PRを経て、2021年の資生堂インタラクティブビューティー株式会社設立とともに出向。経営管理・企画・財務・広報・組織風土づくりなど多岐にわたる業務を扱うチームの管理職を担う。二児の母。

子育てとの両立は自分にはできないと思っていた

約12年の広報PRのキャリアの中で、2回の産休育休を連続で取得した野田さん。「子どもに向き合いたい」と約4年間、仕事から離れていました。ただ、広報に異動した30歳のときは、子どもを持つ先輩社員の姿を見ながら、「私には両立は無理だ」と思っていたそうです。
「異動と同じタイミングで結婚をしたのですが、仕事がとにかく面白くて、この時間とチャンスを失いたくない、と思っていました。
当時の広報PRの部署は女性が多く、時短勤務で活躍している先輩もいました。でも、限られた時間の中で仕事を終わらせて、夜は家事や寝かしつけ、早朝から保育園の準備…そういう毎日の話を聞くと、とても大変そうで、自分にできるイメージが持てませんでした。子どもができたら仕事を続けるのは無理かもしれない、とすら思っていました」
「できるかどうか、まずはやってみよう」と出産を具体的に考えるようになったのは、30代半ば。「始める前から無理だと決めつけてはいけない」という思いが強くなっていったと話します。
「アメリカの大学も、行ってみたらなんとかなったから今があります。仕事も好きだけど、子どもを育てるという経験もしてみたかった。どちらかを断念する必要はない、と思えるくらいに、自分にも余裕が出てきたのかもしれません。
それまでの仕事を通じて、マルチタスクを同時進行することが得意だと思っていたので、やってみたらできるかもしれない!と前向きな気持ちになりました」
大好きな仕事を4年間離れたのちの復帰。子どもたち2人と「しっかり絆を築けている」と思える毎日を経て、芽生えたのは「仕事に戻りたい」という想いでした。
「子育ての合間も、PRプランナーや子育てに関する資格を取得していて、動いていないとダメなタイプのようです(笑)。子どもたちにとって母親は私一人ではありますが、私には、母親である以外の第三の場所が必要でした。自己実現の場が仕事だったのだと改めて感じました」

「自分がいなければ回らない」のなら、仕組みに問題がある

復帰後、しばらく現場を離れていた状態からのフルタイム勤務で、まず目指したのは「完璧を求めない」ことでした。
「頼れるサービスはすべて利用して、夫は朝担当、私は夕方担当と完全に分担しました。タスクを洗い出してどちらがやるかを決め、どうしても無理なときはお互いの両親を頼らせてもらっています。

もちろん、うまくいかないこともたくさんあります。例えば子どもが熱を出したとき、夫婦のどちらが迎えに行くかで、気まずい空気になることもあります。でも、お互い忙しい中で『私が行くよ!』と動けば、次は夫が動いてくれて、自然とバランスがとれていくものです。夫婦の間でも、コミュニケーションが大事だなと学んでいます」
また、子育てとの両立を始めたことで、“自分でなくてはできない業務”があってはいけないと思うようになったそう。チーム内で、誰の仕事でもできるようにしておく仕組みをどう作っていくか。働き方に対する考え方も変わっていきました。
「担当者が1日不在になることで業務に大きな支障が出るとしたら、仕事の進め方やチーム体制に見直すべき点があるのかもしれません。
『〇〇部署の方に確認すればいい』など、やるべきことを明確にして体制を整えておけば、少し時間が空いても問題なく対応できることが多いと感じています」

他人の評価ではなく、自分の心地よさを優先してほしい

2021年7月に資生堂インタラクティブビューティーの設立と同時に異動し、グループマネージャーを担っている野田さん。子育てで悩んだ経験や得た学びが、メンバーとのコミュニケーションに活きていると常々感じています。
「子どもと向き合うとき大事にしているのは、手や口を出しすぎないこと。それは、チームメンバーに対しても共通しています。チームメンバーに細かく指示を出しすぎて、『分かっていますから』と言われてしまったことがあります。任されていると思うから、人は動きたくなるのだと、私自身の体験からも感じています。
あくまでも環境を整えるのが私の役割。指示されて動くのではなく、自分で動いて壁にぶつかったときに相談しに来てもらえるような関係性を築きたいなと思っています」
実際に、社内のさまざまな方からライフイベントを含めたいろいろな相談を受けることが増えているといいます。自身の経験を話すこともありますが、あくまでもそれは一つのケース。誰かと比べずに動いてほしい、と伝えているそうです。
「他人の評価を気にせずに、自分が心地いいかどうか、という自分軸を大切にしてほしいです。人生は一度きりで、そのときの時間は二度と戻ってこない。“自分がどうしたいか”に立ち戻って選択していけば、失敗や想定外のことが起こっても、きっと人生を面白がって、前に進んでいけます」

「前編記事」





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写真:MIKAGE
取材・執筆:田中 瑠子

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