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マイキャリアストーリー

『メーカーで感じてきた課題に、コンサルタントとして向き合う』
Mujin Japan コンサルティング部マネージャー 池庄司まり子さん【前編】

誰しも迷うキャリアの決断。管理職として活躍する女性はいつ、何に悩み、どう決断してきたのか。キャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

今回は、株式会社Mujin Japanのオートメーションストラテジー本部でマネージャーを務める池庄司まり子さんにお話を伺いました。

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池庄司 まり子(いけしょうじ まりこ)さん

株式会社Mujin Japanオートメーションストラテジー本部コンサルティング部マネージャー
新卒で大手自動車メーカーに入社し、生産技術を担当。その後、経営コンサルファームでシニアコンサルタントを経験後、2023年にMujinに入社。2024年4月に設立された日本法人(株)Mujin Japanで製造・物流・小売り等のお客様に向けた生産・SCM戦略や構内物流自動化に関するコンサルティングを担当している。

現場の苦労を知り尽くした仲間が集まっている

統合自動化プラットフォーム「MujinOS」で、ロボット・AGV・保管システム・ビジョンセ ンサー等、多様な自動機器をデジタルツイン環境で統合制御することで、製造・物流現場の 高度な自律型オートメーションを実現しているMujin。2011年に、世界的なロボット工学の権威であるロセン博士と、イスカル社をはじめ製造業の経験豊富な滝野一征氏が共同で創業した、総合オートメーションテクノロジー企業です。Mujinが生み出したMujinOSは、製造・物流現場で生じる複雑な工程や作業への対応を可能とし、多くの現場での導入、活用が進んでいます。
社内には製造業や物流の出身者が多く、現場の苦労や大変さを知っているからこそ、『かつての職場にもMujinのソフトウェアがあったらよかった』『この技術を活用できれば、現場の負担は確実に軽減する』という強い思いを持っている人が多いそう。
池庄司まり子さんは、そんなMujinに2023年に中途入社後、2024年4月に設立された日本法人、(株)Mujin Japanでコンサルティング部マネージャーを務めています。
「現在は、製造業のお客様に対して、工場や倉庫などにおける生産現場や物流の効率化、特に高度な設備の導入を前提とした自動化をサポートするコンサルティングを担当していて、Mujinが持つ自動化機器に関する知識や、現場への導入経験を活かしながら、戦略策定からプロマネまでの一連のコンサルティング業務を進めています」
池庄司さんも、大手自動車メーカーの技術畑の出身者。その後、経営コンサルファームでコンサルタント経験を積んだことから、製造現場×コンサルティングの知見を掛け合わせた提案につなげています。
学生時代は工学部で学び、当初は研究者を目指していたという池庄司さん。ただ、基礎研究にとことん突き進める中で、「これはいつ世の中の役に立つのだろう」と疑問を持つようになったそう。「自分がやったことが社会に還元され、役に立っている実感を得たい」という思いから、最終商品が目に見える製造業に興味を持つようになりました。
「研究者になりたいと思ったのは、父の影響が大きいです。父は化学系の研究者で、研究者仲間がよく家に遊びに来ていました。ワイワイと議論をしている姿がとにかく楽しそうだったんです。子どもの頃は、元素構造の模型をおもちゃに遊んでいて、アカデミアの世界がごく身近にありました。

ただ、大学や大学院で基礎研究を続けていると、学問としての大切さはわかるものの、『誰かのためになっている』という実感はなかなか得られません。私には、開発や設計など具体的な商品に近い仕事のほうが向いているのではと考えるようになりました。そこで、研究者の道から就職へと切り替える決断をしました」

今の環境をどう改善するか。メーカーで鍛えられたマインドセット

大学院を修了後、「理系の知識を活かせる」「留学で得た語学力を活かせる」「女性が活躍している」という3つの条件が揃った環境を求めて、大手自動車メーカーに入社した池庄司さん。設計職を希望していましたが、配属されたのは生産技術職でした。
「最初のうちは、設計がやりたかったな…という気持ちも少しはありました。でも、仕事をしていくうちに、『自分の得意分野と合っているのかも!』と思うようになりました。

クルマはたくさんの専門職の力が合わさって作られます。デザイナーが外観をデザインし、設計担当は必要な性能を満たすべく図面を描いていく。生産技術に求められるのは、それを、限られた設備や予算の中で品質を保って作れるように計画を立案・実行し、大量生産の道筋を立てることです。

日々、大事にしているものが違う多様な職種の人たちとコミュニケーションを取り、調整していく能力が求められますが、私にはそれが苦ではなく、むしろ面白かった。
『こんな風に対話を重ねたら、うまくいった!』という学びが多く、その経験は今、いろいろな考えや優先順位の異なるお客様へのコンサルティングにおいて、とても生きていると感じています」
約8年の生産技術職のキャリアの中では、国内工場の刷新プロジェクトに携わったこともありました。新たな設備、技術の導入を含め、どんな戦略で工場を改革していくべきか。企画立案にかかわったことは、製造現場のより深い理解につながっていきました。
「クルマづくりには様々な工程があって、たくさんの部署・担当者が各々の視点を持ちながら関わります。『こんな風に進めていきたい』というそれぞれの部署の思いを尊重していくと、部署間をつなぐ“物流”が見落とされがちになります。物流を後回しにすると、工場内の搬送がとても煩雑になってしまう。そこで、物流にフォーカスしてきちんと評価する検討チームが必要だろうと、新たなチームの立ち上げも進めていきました」
Mujin Japan のコンサルタントとしてお客様の課題に向き合う現在、「どうすれば、今の環境がより良くなるか」を追求する姿勢がとても大切だと語る池庄司さん。メーカーでの検討チーム立ち上げは、まさに、そのマインドを体現したようなケースでした。
「検討チームを作ったことで、工場内の物流コストを大幅に削減することができました。自分がいる場所の課題に目を向け、改善に動いた成功経験は、今の自信にもつながっています。まず自分の目の前の環境をより良くしようと思えなければ、お客様にも本気で向き合えないんじゃないか。Mujin Japanで働く仲間とも、そんなことをよく話していますね」

→「後編記事」につづきます。





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取材・執筆:田中 瑠子

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