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読むと元気になる「インタビュー」

生きることは、自分なりの恩返しの仕方を見つけること――
メンバー1人ひとりに合った“働く”環境を整えていきたい(後編)

2022.11.04

女性なら誰しも迷うキャリアの決断。先輩たちはいつ、何に悩み、どう決断してきたの? 現役で活躍し続ける女性たちに、これまでのキャリアの分岐点と、決断できた理由を語っていただきます。

 

第2回は、野村不動産株式会社の都市開発部門でオフィスビルの運営業務を担う眞島明花さんをインタビュー。12人のメンバーを持つマネージャーであり、10歳の長男、6歳の長女の子育てを両立させています。「スローペースで進んできた」という自身のキャリアと、変化してきた仕事観について、お話を伺いました。

 

~本記事は、2022年10月21日掲載記事の後編です。前編はコチラ。~

眞島 明花さんのイメージ画像

眞島 明花さん

野村不動産株式会社、都市開発第一事業本部 ビルディング事業一部 副部長 兼 事業課長。大学で建築学を学んだ後、マンションデベロッパーに新卒入社。マンションの商品企画業務や販売業務に従事する。2008年、第二新卒として野村不動産株式会社に転職。ビルディング事業部門の営業職として、オフィスビルのテナント誘致業務を担当。2017年より、再開発ビルの事業企画推進に従事し、現在オフィスビルの運営担当。

メンバーは100%信頼する。周りに目が向くようになって気づいたマネジメントの面白さ

2021年よりマネジメントポジションを務め、現在は12人のメンバーを見ている眞島さん。マネージャーになるまで、なりたいともなりたくないとも「特別な感情を持っていなかった」と話します。
「社内の評価よりも、一緒に仕事をする関係者の皆さんのほうを向いていたかったんです。企画職は、設計を担当する設計会社や、施工するゼネコン、社内の建築のスペシャリスト集団である建築部、お客様と接する営業など、さまざまな人と一緒に建物を作っていく仕事。オーケストラの“指揮者”のような存在だと考えていました。
『眞島さんがいなかったら、この物件はできなかった』と言っていただけたときが本当にうれしくて。現場に自分の居場所があって、皆さんと信頼関係を築けられたらそれでいい、と思っていました」

上司からマネージャーを打診されたときも、担当していた大型物件の進捗で頭がいっぱいだったため、「かなり淡白な返答だった」と振り返ります。
「上司も、『もっと喜ぶかと思ったのに』と拍子抜けしていました(笑)。でも、選んでいただけたのは、社外からの評価が社内に伝わっていったからなのかなと思ったんです。もしそうならば、皆さんからいただいたせっかくのチャンス。やるだけやってみようかなと気軽な気持ちでした」

実際にマネージャーについてみると、仕事の面白さを実感することが多くあったと話します。
「マネジメントの仕事は、メンバーのパフォーマンスを上げるお手伝いをすること。活躍できる環境を整えることにあります。
人の手を無理やり引くことはできないけれど、困っていることがあるのなら、全力で調整して環境を変えることはできる。それってすごくいい仕事だなと思うようになりました。
メンバーの中には『マネージャー=責任の重い仕事』と敷居高く捉えている人もいます。でも、周りへの気配りができていれば、それがマネジメント。壮大な仕事でも何でもなくて、日々やっていることの延長でしかありません。メンバーの一人ひとりの個性を見ながら、『こう伝えてみたらどうかな』『ダメなら、こうしたらどうかな』などと悩みながら接していて、そんな等身大の姿を、メンバーにも隠さずに見せています。だからこそ、『眞島さんを見ていたら、(マネジメントが)自分にもできそう!』と言ってもらえたのが、すごくうれしかったんですよね」

メンバーと接するとき、土台にあるのは「100%の信頼」だと言います。
「私のライフコンセプトに『すべての働く人を笑顔にしたい』という思いがあります。
自分自身が体調を崩して仕事を辞めてしまった経験があり、気分のアップダウンがパフォーマンスに影響するという自覚がある。誰もが、いつでもパフォーマンスを上げられるわけではなくて、気分や体調、タイミングによっていいときも悪いときもあります。

今見えている面は、あくまでもその人の一部分。100%相手を信頼していれば、ほかにもいろんな良さがあると思えるんです。自身がそうであったように、どんな人にも刺激を与えて、自分で動き出せるような環境を作っていきたいと思っています」

最後に、読者の皆さんへのメッセージを聞くと、眞島さんなりの“恩返し”の考え方を話してくれました。
「生きていくことは、自分が受けた恩恵を少しずつ社会に返していくことだと思っています。
私はいろんな遠回りをしながら、40代になってようやく、周りに目を向けられるようになった。メンバーの“働く”を少し助けられているのかな、と思えるようになった今、もっと多くの人がいきいき働けるように、マネージャーとして実績を上げたいという気持ちが芽生えています。

もっと早い時期に周りを考えられるようになる人もいると思いますし、まだそのタイミングが来ていない人もいると思います。周りを見られるようになったときがマネジメントのスタート地点。少しずつ外に目を広げていって、拡張していけば、自分自身も成長できるのでは。“お返しする”タイミングもやり方も、自分に合ったスタイルで少しずつ見つけていってほしいと思っています」

写真:三浦えり
取材・執筆:田中瑠子